第30話 瀬戸美月 忠告される

「ミキちゃん、聞いて聞いて。健司さんにクリスマスプレゼントに最新のゲーム機もらったの〜」

電話で親友のミキちゃんに自慢した。

すると、親友であるはずのミキちゃんから思いもよらない言葉が帰ってきた。

「え”?それやばくない?」

美月は親友のその言葉が不思議で聞き返した。

「え?やばいって何が?」

すると、ミキちゃんは真剣な口調で話してきた。

「だって、美月ってゲームやってるとき話しかけても全く聞いてないし・・いつまで立ってもやめないし・・・。彼氏の前でもおんなじだとやばいって」

「え?」

「悪いこと言わないから、彼氏の前ではゲームをやらないほうがいいよ。これは真剣な忠告だから」

「そ・・そうなの?」

「そうだよ、美月はゲームはやらないほうがいいから。まじで」

そして言った。

「じゃないと、健司さんに振られるよ」


美月は、そんな親友の言葉に対して思っていた。

”大げさだなぁ・・・”



今度は、母親に自慢した。

「お母さん。健司さんにクリスマスプレゼントに最新のゲーム機をもらったの〜」

すると母親が言った。

「え”?それやばくない?」

(以下略)


”ほんと、ミキちゃんもお母さんも大げさなんだから〜”

美月は思った。


今日は、美月は仕事納め。

早く帰ってきた。

健司さんはまだ帰ってこないだろうなぁ・・

時間あるよね。

夕ご飯作るまでの間ゲームやろうっと。


とゲームを始めた。


・・・

・・


「ただいまぁ」


健司が帰ってきた。

すると、美月はTVの前でゲームをやっていた。

健司が帰ってきたのにも気づいていないようである。

”すごい集中力だなぁ・・・”

健司は思った。


仕方ないので、夕ご飯の準備をする。

今日はパスタにしよう。

エビとアスパラでクリームソースのパスタ。

生パスタがあるし、ちょうといいだろう。


そろそろ、ご飯が出来たので美月に声をかける。

どうやら気づかないようだ。


仕方ない・・・美月のところに行って肩を叩く。

「美月。ご飯できたよ」



ビクッとして、驚く美月。


「あ・・・健司さん」

「美月。ご飯できたよ」


見ると、テーブルの上には湯気を立てたご飯が・・


”しまった・・・全く気づかなかった”


真っ青になる美月。


ミキちゃんと母親の言っていた言葉を思い出す。

『健司さんに振られるよ』


”やばい!?”


「ご・・ごめんなさい。ご飯作ってなくて・・」

「いや、いいけど。随分集中していたね」


”今回、健司さんは何も言わなかったけど・・これが続くと・・”


さすがの美月も、これは危険だと判断した。


それ以降。美月はタイマーをセットしてゲームするようになった。

1日、30分。

しかも健司さんのいるときにはゲームしない。


美月には珍しく、自分を律するようになった。


それほどまでに、健司に振られることだけは避けたいと思う美月であった。


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