12 退職対策の方針転換

「そう言う訳でなんとか手伝ってもらえないかと思ってるんだけど」

「会社とのやりとりは絶対発生しないから! 僕が専属窓口になるからやってくれないかな」


ダンジョンから逃亡の翌日、俺の家でユキと共に退職の為の人材確保に励んでいる。

人材確保と言ってもアテがあるわけじゃないので、先行して退職してる冒険者側のシステム作りのメンバーになっている2人に依頼しているわけだけど。




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昨日会社にユウを回収しに行ったらユキがいたのでついでにファミレスで今後の相談をする事にした。

2人がこの状況になりながらやって、解決策でないならこのまま進めるの無理だから。


ユウと月夜は話に聞くデスマーチ状態の雰囲気を出していたので、カオちゃんに面倒を任せて殆どユキと決めてたけど……今の状況ならどういう結果になっても文句言うまい。



改めて状況整理した結果、相手の要求とかもう無理だと判断した。

いやだって元々花村さんが無茶してた部分まで何とかしろって言ってるのおかしくね?


それで融資とか継続してるんだからその部分認めてるということで切るしかない。

というか責任者が男女の関係優先で会社への報告が不味くなる部分でもあるんじゃないかな。


こっちとして対応するのは現状維持できる環境づくりと直近の案件の道筋を作るくらいだろう。

それ以外はユウが上手く交渉してもらう方で頑張ってもらおう。

要求してくる人間は絶対花村さん関連で何かあるし、会社辞めるからそこに俺らが執着する意味はない。



ファミレスに入ってから店員さん達がチラチラこっち見てたの気になってたけど、寝て起きたら俺たちの統一感の無さが原因だろうと思い至った。


ジャージ・和服・スーツ・カジュアル・学生服

あらためて思い出しても服装に全く統一感ないな!

しかもジャージが難しい話の主導してるのも第3者の目から見ると違和感しかない……


なまじ普通の服もあるからコスプレ集団にも思えないし、逆に大人に統一感あっても夜に女子高生を連れて歩くとか違和感しかない。

月夜いなかったら通報されてたんじゃなかろうか。


やっぱり統一感って大切だとこの歳で実感してしまう。

新会社では統一感を持たせるために制服はジャージとなるようにできないかな。

業務の為に皆ダンジョンに潜るかもしれないし。




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「まあ、私達も先に辞めさせてもらってる負い目あるからやるわ」

「けど、社内に行かないと行けないのは止めてくれないか?」

「2人にはシステム関連渡すから大丈夫だよ。 万が一社内の誰かから連絡あったら僕からしか話し受けない事になってるって言って」


これだけ変な動きしている奴がいると外部から引き抜き等の話チラつかせて、直接連絡して邪魔する人も出てきそうなので、この点は徹底する。


一度止めた形にもなるので新会社で契約して直接MAAZとは関係ないようにする。

この辺りは月夜に上手く調整してもらう事にする。


ちなみに新会社はいつの間にかユウが登記していた。

助かったけど、ハードスケジュールの合間によくやったなと思った。

ただ、業務内容に『人材派遣』が入ってたんだけど、まさかコレって俺がダンジョンに行く為に付けてるんじゃないだろうな……



「まあ、そう言う事ならいいけど……」

「優先順位はどうするの? アッキーの方も進めてるけどユキのも入ったらどうやっていく?」

「一旦冒険者側のは止めてユキのシステムを優先して欲しい」

「本質的に新しい物は作らないから、手戻り無いように渡すからお願いできない?」


2人は話を聞いてちょっと考え込む。


「ちょっと確認したいんだけど、残業ってどの程度考えた上での話?」

「俺たちも家庭があるから昔のような形はちょっと…… どうしてもという部分だけならなんとかするけど」


もっともな話である。

昔は46時中できたことも家庭ができればそれも難しくなる。

が、ユキも家庭を持った身なのでその点は昨日で話し合っている。


「基本は今の働いてる時間でいいよ」


ライフスタイル的な面もあるけど、そもそもシステム作成等は品質を考えると、長時間よりも短時間でしっかりと頭を休める時間を取った方が良くなる。


やってもらっても1日10時間でむしろ下限を決めないという方向のがいいだろうということになった。

時間給だとこの点デメリットになるけど、成果給にする事でできる人間には大きなメリットになる。


2人はその話を聞くと、状況からMAXでやるようにしないとまずいんじゃないのと言ってきた。


そもそも会社を辞めたのに引っ張ってるんだからその程度は当然だと思うけど。

2人はちゃんと成果を上げる事をする人だというのは分かってるし。



「それで成果給だけど」

「「任せた!」」

「いや、駄目だろ!?」


一番揉めやすい部分を丸投げしてきた。

良いようにしてもらってるのだし、これまでの付き合いからも丸投げしたらしいけどそこは今後の事も考えてしっかりしておきたいので、走りながらユキと調整してもらう事にする。

……本当は契約前に確定しないと駄目なんだけど


ちなみに2人の直接契約は新会社になるので、運転資金は俺の貰えない給料になる。

疲れが振り切ってるユウに昨日聞いたら、取り合えずMAAZの2人の給料で2ヵ月分は出せると教えてくれた。

……俺クマ倒した時の成果で一体いくら貰えることになってんの?



後は昨日分かった事などは音声ファイルを今度作成して2人とは情報共有する事にして、俺は別の部屋で倒れているユウと月夜を病院に連行する。


ユキは今見えている仕事の流れを簡単に説明した後、会社に行くことになっている。




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病院につくとまずはユウを診断と思ったけど昨日今日の様子を見ていると結果が見えているので、直で病院に宿泊してもらえる様に陸自から連絡してもらう。


なんか病院の調整をL〇NEに流すの当たり前になってきたな……


最低限必要な物を (ユウのお金で)揃えて、俺はダンジョン野営地に向かう。

L〇NEに流れる話によると朝方にダンジョンが切り替わったようで蟻の群れから解放されたらしい。


最低限の見張りだけおいて多くは休んでるらしいので、昼頃から色々と話す事になるだろう。

今後の探索を進めるにしても色々と動きを決めていかないとどうしようもない。

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