第32話
「………………あ、れ?」
目が覚めるとそこは真っ暗な空間だった。えっ?どういう状況だ?僕は鈴音からメッセージがきて「いまから会いたい」と言われたから鈴音の家に向かっていたはずだ。家から出てからの記憶がない。
「…………う?なんだ?手足も動かない。どうなってる」
どうやら僕は椅子に座ってるみたいだが手足を何かで縛られてるから立つこともできない。なんでこうなった。僕は必死に家を出てからの行動を思い出そうとしていると急に明かりがついて
「っ!」しばらく暗闇にいたせいでまだ目がなれてない。少しずつ目が慣れてくると目の前に人影が2つあるのがわかった。
「………だれ?」
僕が聞いても答えてくれない。目を凝らして見るとそこにいたのは
「…………鈴音?と誰だ?」
一人は鈴音だった。こっちをみてニコニコしている。その横には長身の白髪の男性が立っていた。するとその白髪の男性が
「久しぶりだね、秋くん。会いたかったよ」
僕のことを知ってるって事は
「えっと、鈴音のお父さんですか?」
すると笑顔で頷く鈴音のお父さん。それにしてもこれはどういう状況なんだ。何がなんだかわからず鈴音の方を見るとずっとニコニコしているだけだった。なんだかとても気味が悪くて今すぐにでも逃げ出したいがあいにく逃げることができない。僕は鈴音に
「……鈴音?これはどういうことなのかな?説明をして欲しいんだけど」
すると鈴音の代わりに鈴音のお父さんが
「秋くん?秋くんの今の境遇は娘から聞いたよ。辛かったね。でももう安心だ。これからは私達が家族だ!ずっと一緒にいよう」
何をいってるのかわからない。すると鈴音が
「やっと私達家族になれるんだよ?これからは秋はずっと私と一緒だよ?うれしい?」
さっきからずっと笑顔でなんだか怖い。笑顔なのに目が闇に飲み込まれてるような常人ではありえない目をしていた。
「何をいってるの?家族?俺には家族がいるし、鈴音とは恋人であって家族ではないだろ?」
当たり前のことを言ってみても全く聞く耳を持たない鈴音。そもそもなんでこんな事になってるのかわからない。
「とりあえずこの手足を縛ってる解いてくれないかな?話はそれからだよ。」
「だめだよ?大丈夫。私が全部面倒見てあげるから!トイレもご飯も何もかも!だからそのままだよ?」
もう無理だ。さっきから鈴音の言ってることがわけわかんないし鈴音のお父さんもずっとニコニコしてるだけ。娘のしていることになんの疑問も持たない時点で終わってる。
「………冗談じゃない。今すぐここから出してくれ!じゃないと俺は鈴音と別れる!それでもいいのか?」
強気にでてみる。そんな僕の言葉を聞いた瞬間急に鈴音の表情が曇り、僕に近づき僕の首を締め出した鈴音。
「っ!ぐぅは、す、ずね。な」
「だめだよ?秋くんは私だけのモノなんだから。もう二度とそんな事を言わないようにしなきゃ!」
笑顔で首を締める鈴音。後ろでは何もしない鈴音のお父さん。僕は意識が遠のいていく中、
(冬華。僕は間違えたのかな)
そんな事を思いながら意識を失った。
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