友達って、いいよね! でも……。

幼い頃は見えないものが見えても、不思議と恐怖を覚えないそうです。

孤独感を覚える内気な少年、レオ。強気な姿勢を見せる、ケン。放課後の二人の光景は、帰宅する友達同士の当たり前の誘い合い。然し、奇妙な距離を二人に感じたのは、異様な友情がそこに芽生えていたからかもしれませんね……。

二人は帰り道、古い洋館を探検することになります。廃屋を見れば探検したくなるのは童心と言えます。読み手によっては懐かしさを覚えるワンシーンではないでしょうか。普通なら沢山の想像に胸を躍らせるものです。普通ならです……。

ワクワク、ドキドキと好奇心や冒険心を募らせて洋館の奥へと進むケンの軽快な足取りに対してレンの足取りは重い。嫌に重いのです……。

気が付けば、読み手も無理矢理に闇の世界への道筋を辿らされていたのです。もう手遅れ。最後まで拝読するしか、現実世界へ引き返す術がないのです……。

命運は祈るしかなかった。そうすれば――。この言葉の意味をその目で確かめてから、現実世界に戻ってきてください。

作者様が魅せる多才な仕掛けが、洋館内で次々と繰り出される恐怖を読み手に確実に伝え、緊張が続く中で夢中になって読み進めていることでしょう。
結末を目にした時、さらなる恐怖が追い打ちを掛けます。是非、一読ください。