第23話 優衣視点③


 ベジうそーー琴音との配信が終わってから、翌日。


 私は、予定が突然キャンセルになり…信頼できるマネージャーに彼を急いで連れてきてもらうようにお願いした。


 マネージャーも、私の変化には1週間前に位から気づいていたみたいで、「身バレだけは気をつけて」と念を押された。


 その後…30分位経つと、黒いワンボックスカーが止まり、中から彼が降りてきた。


 ただ…少し、機嫌が悪そうにしていたのは、計算外だった。


 今まで、私が呼べば喜んでやって来る人達ばかりで…逆に喜んでいない、彼の態度は新鮮だった。


 その後、彼から誘拐されるかと思った、と…聞かされビックリした。


 後で、スタッフに言っておかないといけないみたいね!


 私が、誘拐するように指示をしたと思われるなんて許さないんだから!!


 その後は、勇気を振り絞って、彼をデートに誘い…動こうとしない彼の手を引っ張った。


 うぅ…顔が熱い。


 でも、彼から動こうとしないのが悪いんだから! 普通は男の人から、手を握りったりするものでしょ!? まったくもう。


 私は、彼の手を引っ張りながら…彼が乗ってきた、黒いワンボックスカーに乗り込み、月に2回くらい行っている水族館に移動した。


 水族館に着くと、年間パスポートと、間違って買ってしまったチケットを取り出した。


 チケットの事で、深く聞かれそうになった私は、誤魔化す為に彼の手を引っ張り中に入った。


 こうして、男性と手を繋いだり、一緒に水族館に行くなんて思わなかったなぁ…。


 つい最近まで、男性は苦手で、まさか自分から積極的に動くなんて思いもしなかった。


 彼が…私の初恋の相手。


 ぶっきらぼうで、口が悪く、ひねくれている人。


 でも本当は優しい人。


 琴音からから聞いた話でもそれは十分すぎる程に伝わった。


 そんな彼と私は恋人になりたい。


 一緒に色んな所を見たり行ったり、手を繋いだり、背中を合わせて本を読んだり…なんだか、恥ずかしくなってきたんだけど!


 「ほら! まずはイルカを見に行くわよ!!」


 私は恥ずかしさを誤魔化すように、彼の手を引っ張り…色んな魚や動物を見て回った。


 彼もなんだかんだ楽しそうにしていたように感じて、少しだけ嬉しくなったのは秘密。


 色んな場所を見て回った後…ぬいぐるみや、お菓子にアクセサリーが売っている場所で、新しいイルカのペンダントが売ってあるのを見つけた。


 これ…2つでハートになるんだ。


 お揃いか…少し恥ずかしいけど、買っちゃおう!!


 早速購入した、私はバックに黄色イルカのペンダントを付けた。


 彼とのお揃いだと考えると、心がポカポカと…温かく感じた。


 そのせいか、つい彼と繋がってる手をブンブンと振り回してしまい…恥ずかしくなった。


 私だけ恥ずかしくなって不公平じゃない! アンタも少しは恥ずかしがりやさいよ!!


 そんな事を考えていると、少し大きめなカフェが眼に入り…喉も乾いていた事もあり、入ることにした。


 私はカフェオレとホットサンドを頼み、彼はブランドコーヒーを頼んだ。


 少し、お腹が空いていた事もあり…2つあったホットサンドはぺろりと食べる事ができた。


 でも…今日は、これで終わりかな? 少しだけ寂しいとおもってしまう。


 待って。


 そういえば、彼は今付き合っている人がいるのか聞いてない!


 彼の様子からして、多分いないと思うけど…0じゃない!


 私は早速、なんて事もないように…彼に恋人がいるのか聞くと、彼は「いない」と言った。


 良かった…。もし、付き合っている人がいたら諦めるしかなかったから。


 私はこの流れを無駄にしないように、告白した。


 彼を離さない為に…。


 「それなら…さ、私と付き合ってみない? ほ、ほら! 私可愛いから損はないーー「無理」」


 損はないんじゃない? と言おうとしたら彼からそんな言葉が発された。


 私は何を言われたのか分からずにいると…彼から続くように、それは言われた。


 「いや、普通に無理だわ。俺はお前みたいなわがままで、人の領域にずかずかと入ってくる奴嫌いなんだよね。もう2度と俺の前に現れないでくれる?」


 「ッ!!」


 もう…耐えられない!


 眼から溢れ出ようとする涙を必死に堪え…初音はお金も払わずに店から出て行ってしまった。



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 すみません!! 上手く表現できませんでした!!

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