第6話 婚約者達の闇と目的

俺はクラリスに結婚を持ちかけるため、パーティーの準備と結婚指輪を用意した。


クラリスの瞳と同じ、アクアブルーのダイヤモンドだ。


太陽の光に透かしてみる。

キラキラと光り、俺の目の中に光がさしてくる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


そして、クラリスが城にやって来た。

俺はさっそく、クラリスを大広間へ誘いパーティーを始めた。


時が過ぎていき、もうすぐ夜中になる時間。

俺はクラリスの前に膝をつき、まっすぐ目を見ながら指輪の箱を開き言った。


「クラリスよ、俺はお前のことを愛している!だから、俺と結婚してくれ!!」


会場中がざわざわとし始めた。


すると、クラリスは……

俺に今まで向けたことがない、冷ややかな軽蔑のまなざしをむけた。

そして静かに言い放った。


「えっ?無理無理無理。いや、絶対嫌よ。」


俺はあまりのクラリスの嫌がりっぷりにかたまってしまった。


「ていうか私、付き合っている人いますから。と言うかなんでいけると思ったの?気持ち悪いにもほどがありますよww」


クスクスとバカにしたように笑う。


「で…でも、最初は…ガルド王から…君の結婚相手になってほしいって…言われ…て…」


すると、クラリスのは少し前までのおしとやかさが無くなり、ドカッと椅子に座った。


「えっ?私そんな話聞いてないんだけどwwどうせパパが、あんたとヤるための口実ってところじゃないの?」


そんな…俺は、生まれて初めて恋をして、生まれて初めて守りたい…命をかけてでもと思ったのに…

俺の目の前に絶望が広がった。


周りからもクスクスと笑う声がする。

もう、この場で死んでしまいたい。苦しい…


すると、グサッと何かが刺さる音とともに周りの人々の悲鳴が聞こえた。


俺は何があったのかと顔をあげると、血まみれのリュークと顔面に深くリュークの大剣が刺さったクラリスがいた。


「リュ…リューク?お前…何して…」


リュークは振り返ると、


「どうせこいつ偽物だし、殺したところで害はなかったからさ。」


俺は訳が分からなくなった。


「何してるんだ!仮にでも隣国の姫だぞ!

おい、早く治療師を…むぐっ!?」


治療師を呼ぼうとすると、リュークの指が口の中に入ってきて、声が出せなくなってしまった。


「ぬへっ!はあへっ!ほの!」


「国王陛下、落ち着いて?あいつはもう死んだ。それに、さっきも言ったけどあいつは本物のクラリス王女じゃないよ?」


「ふぇっ?」


リュークはやっと俺の口から指を抜いた。

指についた俺の唾液をペロッと舐めたのは、もう見なかったことにした。


「偽物ってどう言うことだ?クラリスが?いつから…」


確かに、今日のクラリスはおしとやかさも少しの男らしさもなかった。

匂いもほんのり違ったし。


「じゃあ本物のクラリスはどこにいるんだ?」


リュークがそれは…と言いかけると、大広間の扉が大きく開け放たれた。


「貴様、クレオ!!」


ガルド王だ。

ガルド王の後ろには、俺の国の騎士団の者達がいた。


「我が愛しい娘を酷い殺し方で殺しよって!!許さん、許さんぞ!!」


どうしよう…

でも、本当にこのクラリスが偽物だったら?

どうしようどうしようどうしよう…


俺が悩んでいたその時、リュークの指示を出す声が響き渡った。


「標的は偽りのガルド王だ!皆のもの!発射よーい!…討て!」


ガルド王にグサグサッと大量の矢が刺さる。

もう彼も…死んでしまった…


すると、倒れたガルド王の体がボコボコッと形を変えていく。

同じくクラリスの体もだ。


「な…なんだ?」


そして、みるみるうちに二人は空中で合体し、大きなスライムへと姿を変えた。


会場中の客が叫びをあげる


「「「「「キャーーーー!!!!」」」」」


リュークは冷静に言った。


「キング・スライムだ…こいつは知性と魔力が異常なほどに高い…厄介だな…」


リュークが大剣を拾い上げ、キング・スライムヘ突き刺す。

だが、体が柔らかくて少しも刺さらない。


「「我らの目的は、そこのクレオ王だ!」」


キング・スライムはそう叫ぶと、俺を柔らかいスライムで掴み取ってきた。


俺は自慢の斬撃魔法でスライムを切り落とそうとしたが、俺は取り込まれて動けなくなってしまった。


飲み込まれると、息はできたが着ていた服がみるみるうちに穴があき、溶けていく。


俺を飲み込んだまま、キング・スライムは城の近くの魔物の森へと逃げ込んだ。

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