第6話 やっぱり異世
キリュウはミレーヌで言われた通りに、最初の十字路に着たところで右に曲がった、信号はなかったがきちんと止まって左右を確認してウインカーを出していた。
見てわかったが、右側通行なのが色々な標識を見てる中で判断することができた。
見たことはあったが、実際に自分自身が運転してみるという事実に驚きとわくわく感を覚えたがそれはさておきで、ミレーヌがゆっくりと話を始めてくれた。
「あなたは、異世界から来た人だと思ってるわ。それであってるかしら?」
「って、言われても……ここがどこなのかわからないですし」
「ここは帝国のリタリカって地域で、この場所はルート220って道路を走ってるわ。
ポートタウンという街に向かってもらってるわ」
ミレーヌのいった単語を聞いて、キリュウはこういった。
「知らない、そんなのきいたことない。俺は、火事の家に入って人を助けようとして……」
ミレーヌはそれを聞いて気になったのか、深く聞いてきた。
「キリュウ君は、消防士かしら?」
「いいや。親父と兄貴がそうだけど...」
「なるほどね。そういう家系の生まれなのねーーー
キリュウ君はきっと、人助け向いてるわよ
あの時は助かったわ。ありがとう」
キリュウはそう言われてふと嬉しい気持ちが込み上げてきたが、それは置いておいて今ある目の前にある疑問をぶつけてみた。
「もし俺が異世界人だったとして、俺は今からどうなるんですか?」
ミレーヌはそれを顎に指を当ててこう何か考えているような素振りを見せてこう言った。
「うーんそうね...
あなたを軟禁とまでは言わないけど、監視させてもらうわ。なにも危害は加えないから心配しないで」
危害を加えないでって言葉を聞いてふと、さっき銃を突きつけたことを思いうかんだ。
きっと危害は加えないとそうは言いつつも、
きっと触れてはいけない部分でもあるのだろうというのを感じられた。
夜道を車を走らせていると、水平線の先に微かに灯のついた建物は見えてきた。
よくよく気がつけば、今まで走っていた道はただひたすらに平らで大きくひらけた場所であったことにふとキリュウは気がついた。
「そんな格好だと、見窄らしいからあのスタンドで一回止めて休憩しましょ」
どうやら、灯のついた建物はスタンドというらしく。
きっとガソリンスタンドか何かなんだろうと思った。
近づくとわかったが、まさにガソリンスタンドで飲食店のようなもの併設されていた。
若いオレンジ色のショートヘアの二十代ぐらいの若い女性が店内にて、気だるそうにスタンドにやってきた車を見ていた。
彼女は助手席に座る、ミレーヌの姿を見て何かハッとした表情をするなり車の方へ向かってきた。そして、助手席側に来たので、ミレーヌは窓を開けた。
「いらっしゃいませ」
「ニューアムステルの天気はどうでしょう?」
ミレーヌがそう答えるとオレンジ髪の女性はにっこりと笑みを浮かべてこう言った。
さっきの無愛想なのとは打って変わって明るくキャピキャピしているように感じられた。
「用意はできてるよ。服と料理」
「ありがと。で、彼は元気かしら?」
ミレーヌがそういうと、オレンジ髪の彼女はウィンクをしてこう言った。
「もー元気よ。ミレーヌにはいつも助けられてばっかりで。
ダンナはニューアムステルで仕事にも着けたし、私も子供達のこと思うとあたしも嬉しいの」
彼女はそういうと、キリュウとふと目があってこう言った。
「あなたはあっちの世界から来た人なんでしょ?あたしはフィオリーナよ。フィオって呼んでね。よろしく」
さっきの一人で店の中にいた時の無愛想な顔をしてたのとは異なり、ものすごく笑顔でそう名乗ってくれた。
キリュウが名乗ろうとした時フィオは目をキラキラさせてまた話し始めた。
「うちの旦那、アキラっていうのよ。きっとあなたと同郷の人でしょ!?
今度紹介するから、会ってみてよ。旦那も同じ同郷の人と会うの楽しみだろうし!!ね!?」
「あーうん...はい...」
キリュウはそういうとまだ喋り足りなさそうな興味津々なフィオの唇にミレーヌは人差し指を置いてこう言った。
「彼は疲れてるのよ。積もる話は後にしてもらえないかしら?」
フィオって目を見開いて驚いた顔をした後、こう言った。
キリュウを見て疲れているのを察したような顔をしていた。
「オッケー、わかったわ。そこに車止めて中に入って」
そう言ってそそくさ店へ戻って行った。
キリュウは車を止めて、降りようとすると素早く先に降りていたミレーヌが扉を開けてくれた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
一連の丁寧な動作は彼女の癖のように感じた。
とにかく、店に入るなりフィオに案内された席に座り食事を取ることになった。
フィオはメモ帳とペンを取り出した。
ファミレスに来てオーダーを取られるような感じだなとキリュウは感じたが、
「ポートタウンバーガーがこの店で一番美味しいからそれ出すわね。
ミレーヌはミルクティーで....
そういえば、君の名前を聞いてないんだけど...」
「タチバナ・キリュウです」
キリュウがそう名乗ると、フィオはうんと頷いてこう言った。
「見た感じ、オレンジサイダーって顔してる。それでいいかしら?」
矢継ぎ早に言われて、まだ頭も混乱しているのでとりあえず頷いて答えた。
「スープは....アキラはミソなんたらとかいうのが好きらしいから、同じの作ってあげるわね」
フィオがそうノリノリで自分のペースで喋っているのをみてミレーヌはどこか面倒臭そうな顔をしてこう言った。
「ありがとう。フィオ、シャワールームを借りるわよ」
フィオはウィンクをしてこう言った。
「おっけ!キリュウの着替え101のロッカーの中にぶち込んでるから、それ使ってね。
それじゃ、あたしは料理用意するから」
そういうなり、るんるんとハミングをしながら、キッチンへと向かっていった。さっき見た時の無愛想な感じの雰囲気はきっと暇で暇で仕方がなかったからだろう。
ミレーヌはウィンクをしてこう言った。
「疲れてるだろうし、シャワーでも浴びてきたらどうかしら?」
「はい。そうします」
キリュウはそう言って、店の奥にあるシャワーマークが描かれた扉へ向かって行った。
シャワールームの脱衣所には三つの縦長のロッカーがあって言われた101を開けるとそこには、カッターシャツとズボンが掛けられていて下には下着も靴も用意されていたーーーー
「サイズもちょうど良さそうだな...とりあえず、シャワーを浴びよう」
洗面台には大きな鏡があって 、自分がかなりボロボロになって汚れていることに気がついた。
髪もボサボサで髭も伸びきっているのに気がついた。
「こりゃ、ミレーヌさんに悪いな...」
そうふと心で思ったことが口から出た。
とりあえず、服を脱いでシャワールームへと入って行った。
まさか、ここが異世界なんて思いもしない。
シャワーはオーバーヘッド式のものでどこかお高いホテルか外国にでもいるような気がした。
「異世界だったとしても、これはあるのはありがたな....一応、石鹸みたいなのはあるみたいだなこれを使えってことか」
キリュウはそう呟いて、蛇口を捻り水を出した多分だが二つの取っ手があったのでお湯と水の調整ができる物だと判断はついた....
心地いいお湯が頭の上からかかってくるのが感じほっと行きをついた。
ここは異世界なのは分かったが、
それにしても車はあるし、しかもシャワーまであるのってーーー
どうか想像していた、剣と魔法のファンタジーな世界ではないことに落胆した。
でも、やっと落ち着くことができて出てきた感情であることにふと安心する。
「でも、この先どうなるんだろうかな....」
そんなことを口走った時に次にしたいことがすぐに浮かんできた。
「身を整えて、飯だな。すごく腹げ減った...」
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