悲惨な過去いただきます

西東友一

第1話 自殺の意義

 どうやって、死のうか―――


「学校で死にたいな。死に方は・・・」

 

 これは、メッセージだ——— 


「せっ先生、その———」

「ちょっと、急いでるからっ。悪いなぁ!!アクトっ」

 僕の顔はどんな顔をしていたのだろうか。僕の最初で最後で最大の勇気は、新任の担任には重すぎたのだろう。聞かなければ、知らなかったと言い切れるのだから。


 この世に善はない。


 絶望するとただ歩くだけでも、地面がぐらぐらするようだ。人と言う字は支え合うなんて言うが、僕を支えてくれる人はいない。僕は一人で立って、一人で歩いている。僕の足ではしっかりとまっすぐ歩くこともできないようだ。


―――お前は、人じゃない。


 いじめていた奴の言葉を思い出す。


(あぁ、そうだった。僕は人未満だった)

 

 だから、支えてもらえないのだ。僕は人気のない場所、休憩地点としてトイレに入る。トイレは誰もいない。トイレの鏡に映る自分の顔を見て、笑う。面白い。


 虐めていた奴を殺して、捕まろうか、もしくは一緒に僕も死のうか―――


 (いや、そんなことをすれば。あいつら、いや、周りの全員が僕をイカれたとして、処理するだろう)


 そうした方が、自分の心を保てる。見て見ぬ振りした奴らだって、そう考えるに違いない。きっと、みんな、こう思うだろう。


『あいつがイカれていただから、私達は関わらないようにしていた。やっぱり私達は正しかったと』


(これは聖戦だ。僕の血を汚すことはない。僕は清らかなまま、人身御供としてこの命を捧げよう)

「へへっ」


 僕はこの醜い顔から、この脆弱な体から、この僕の清らかな魂の救済と社会を善へと導くことを決心した。

 

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