超絶破壊力アイドル、そして新宿終末戦争

綾繁 忍

第1話 平等に引き裂かれて

 子どもの頃から「半分こ」ということに並々ならぬこだわりを持っていた私は、弟と何かを分けるたびに親に無用な神経を使わせた。ケーキでも、パンでも、ピザでも、私が納得できる精度で半分にならないとそもそも食べること自体を嫌がった。そういうことが続いて親は早々に半分に分けて食べるようなものを私に買い与えなくなったし、私の方も物心がつく頃には社会生活に支障が出ることを理解したのか自分を抑えることを覚えた。ただ、物心がつく前のこだわりというのは魂に刻まれた業のようなものなのか、私の人生の重大なワンシーンで思い出したようにその頭をもたげてくる。半分このこだわりは、翻せば「似た二つのものに偏りを作る」ことを病的なまでに嫌っていたということだった。そんな私は、文字通り日本を二分するまでに至った空前絶後の影響力を持つ前代未聞の超絶破壊力双子アイドル、神乃ジョーと神乃アイをどこまでいっても平等に愛することしかできなかった。押し潰されそうなほど巨大な敬愛と尊崇と畏敬の念は、最後までどちらか片方に偏らせることなく、分断された日本の亀裂の真上に私は立ち続けていた。

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