昭和の香りただよう、ほっこりとした人情劇BLです

ネオンの瞬く繁華街の片隅でひっそりと営業する理髪店。赤白青の回転灯。これだけで何となく昭和な香りが漂ってくるのですが、物語もそんな舞台が似合う、可笑しく優しい人情劇です。

理髪店を営む生真面目な青年と、元ホストの中年男というコンビが絶妙。性格のまったく違う二人のズレ具合がなんとも可笑しく、それぞれのキャラクターがお互いを引き立てあっています。すったもんだのコメディで笑わせてくれるかと思えば、ちょっぴり切なかったり、不器用な優しさがじわりときたり。ホームドラマを見るようなほっこりとした読み心地です。

「大人ゆえ」に縮まらない二人の距離がもどかしく可愛らしい。ウィットに富んだ語りも味があります。ほのぼのとしたBLを読みたい方にお勧めです。