第4話


 私は大学三年生。演劇部のエース!


 高校生の頃から演劇を追い続け、気づけば推薦で今の大学へ進学し、また演劇部に入った。今や演劇の全国大会で優勝する程の実力。私の演劇の力は素晴らしい!


 そして、今日も自分の輝きを素晴らしく感じながら、私は新しい劇へ向けてセリフの練習をしていた。


「あなたは……騙されたのよッ!」


 セリフに感情を込めて勢いよく放つ。ちなみに今練習している劇のタイトルは「騙したのは誰?」という、もうすぐ文化祭で発表予定のもの。


 そして、もちろん私は主役。この劇は、騙され苦しみに追いやられる主人公が、最後の最後で悪役を騙し返すというどんでん返し劇。


 ラストに爽快な物語が待っているの。


 あ、そういえば〝騙す〟で思い出したけれど、最近、ここら辺で強盗事件が多いみたい。警察が一つ一つの家を回って気をつけるように周知してたわね。私の家にも警察が来たわ……。


 荷物を届ける業者を装って、家に侵入し、凶器で脅してお金をさらっていくんですって。


 そんな騙し方、許せないわァ!


「逆に騙してやりたいわァ〜!」


 私が高らかな声の音色を天井に気持ちよく響かせていると突然インターホンが鳴った。



──ピーンポーン



 ん?誰かしら、こんな時間に?


 荷物なんて何も頼んでないし。


 あれ?も、もしかして…………。


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