第15話

二人の猛反対を押し切り俺たちは奴隷市場へ来ていた。



カンナ「どういうことですか!?仲間を加えることは賛成しましたけどまさか奴隷なんて!!」



珍しく俺に対し憤慨するカンナ



ティル「はぁ~、マスター、私は情けないわよ。まさか女を金で買って良いようにしようなんて!

私のマスターなんだからもっと正々堂々と…」



俺の、主としての威厳が急降下していく。



翔「ちょっと待ってくれ!確かに俺は奴隷を仲間にするとは言ったが何も女に限るだなんて言ってないだろ?それに奴隷を買うのは、強く信頼できる仲間を手に入れるためだよ。」



そう説明すると二人は納得してくれそうな反応を返してくれた。


ちょろい。



ティル「じゃあ強いやつなら男でもいいの?」



翔「絶対嫌だ!可愛くて強いのに限る!!」



ティルの何気ない質問に脊椎反射で答えてしまった俺はやはり大バッシングをくらった…



だがどうしてもそこは譲れないと駄々をこねくりまわしていると二人とも大人しくなった。



きっと俺の紳士な熱い思いが通じたんだ。



翔「ありがとう!認めてくれたんだね!」



とびっきりの笑顔で感謝をのべた俺に返ってきたのは



カンナ・ティル「あきらめただけ(です)」



という綺麗なハモリとごみを見るような視線だけだった。





気を取り直して奴隷たちを観察していると色んな種族、性別、年齢の奴隷がいるのが分かった。


怯えている者、絶望している者、怒りを露わにする者等…

数多くの奴隷がいたが皆共通してネガティブな感情を抱いていた。



創作では見慣れていたけど実際に見ると結構心にくる光景だ。


俺でさえこうなんだ、きっと二人はもっと嫌な気持ちになっているだろう。



鑑定スキルでさっさと強い子を見つけるか、一応スキルレベルも最大にしとこう。



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宇佐田うさだ かける

SP:2


取得済スキル

鑑定LV1/10→LV10/10


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そして手あたり次第鑑定していった。



女獣人 LV19 スキル無し ステ 中


女 LV44 スキル 火魔法 ステ 中


女エルフ LV61 スキル 風魔法 魔力操作 風耐性 ステ 高


男 LV8 スキル無し ステ 低


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-----




表にいる子は片っ端から見たがどれもぱっとする子はいなかった。強いて言えば女エルフは強かったが常識に収まる範囲の強さでありのびしろも感じられなかった。



やはりとっておきの奴隷はVIP用に奥に隠しているのか?


とりあえず奴隷商人に聞くか。こういうのは舐められたらダメだから口調をキツくする方がいいんだよな。



翔「おい、そこの奴隷商人!俺たちは強い奴隷を探してるんだが紹介してくれないか?」



声をかけた商人は創作物で良く見るいけ好かないタイプではなく、一流企業の営業マンを思わせる好印象な男だった。



奴隷商人「ご来店ありがとうございます。失礼ですが、持ち合わせがあるように思えないのですが…」



当然そう言われると思っていたので事前に考えていた通り、剣の姿のティルを抜刀し商人に見せつけながら凄んだ。



翔「確かに今は金を持っていないが、稼ごうと思えばすぐにでも稼げる。

だから値段は問わず強く可愛い、綺麗な奴隷を頼む」



ティルの凄さに気付いたのか奴隷商人は慌てて奥へと案内してくれた。


ティルに感謝だな。


通されたのは奴隷がいるとは思えないくらい、いや貴族が住んでいてもおかしくないような豪華な部屋だった。



奴隷商人「こちらの奴隷たちがこの市場で最も強い者たちです。」



そう言われたのは2人の少女だった。


一人はエルフのような見た目の少女、年は16くらいに見える。

目からは怯えと怒りの感情が感じられた。



もう一人は一回り小さい白い服を着た女の子だった。


この子はエルフとは打って変わって目からは感情を読み取れない、というより生気すら感じなかった。

まるで奴隷になることなどもうどうでもいいと思っているかのようだ。



カンナ「やっぱりみてられないですよぅ…」



ティル (私も同意よ、さっきの表にいる子達も可哀想だったけどこの白い服の娘はそれの比じゃないくらい絶望してるわ。いったいどんなことをしたのかしら。)



確かにこの娘の落ち込み用は異常だな。



翔「おい、この娘にいったい何をしたんだ?」



すると商人は慌てた様子になる。



奴隷商人「お言葉ですがお客様、この奴隷に関しては自ら私共のところへ来たのです。

もうどうでもよくなったから奴隷に堕ちるのも悪くない、と」



カンナ「嘘を言わないでください!そんなことあるわけないじゃないですか!」



カンナの言う通り俺も奴隷商人の言葉を否定したが、



白い服の少女「彼の言うことは本当よ、だから責めるのはやめてあげて。」



他でもない少女が奴隷商人の言葉を肯定した。




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