第9話「聞き込み」

●バジル・アオイ エルマンに情報を貰いに行く


GM:バジルとアオイから行きますよ。エルマンは二人を出迎えます。「何か大変な事になってるみたいだな」


バジル:まあ、そうだな


GM:「で? 俺に何をさせようってんだ? 嫌な予感しかしないんだが」


バジル:実はかくかくしかじかで、「裏社会に何か動きは無かったか?」


GM:「暗殺者の類は俺の管轄外だぜ? だいたい、俺にそんなヤバイ事に関わらせる気か? 今回は悪いが協力できん」


バジル:……両手をついて頭を下げます!


GM:「おい!」


バジル:俺はレオンのような頭が良い訳じゃないから、こうするしかない! 俺の友達アンナがピンチで、このままだとこの国の多くの人たちが不幸になる! それはこの街の人たちも同じはずだ! 全財産差し出せと言うなら差し出す! どうか協力してくれないか?



 エルマンは頭を下げるバジルを見下ろして、忌々しそうに苦情を吐き出した。


「……ったく! お前はそう言うところがズルいんだよ。お前のはした金なんか要るか!」


 一通り文句を言ってから、どっかりと椅子に座り、「で、俺は何をすればいいんだ?」と問いかけた。



バジル:エルマン……、ありがとう!


GM:「うるせー、俺まで命を狙われたら一生恨んでやるからな!?」


アオイ:この人めっちゃいい人ですな(笑)。では伺います。ここ数日で、何か不審な動きがあったかどうかを知りたいんですが?


GM:結論から言いましょう。月光通りに関する限り、そういった動きは全く無いそうです。


アオイ:なんと。


GM:「逆に言えば不自然だな。事前に察知は出来ないにしても、こういった大きな事件が起きた後には、『あれはああいう事だったのか』って言う布石みたいな情報が残ってるもんだ。今回は、そう言うのが一切ねぇ」


アオイ:つまり、完璧に秘密裏にことを進めたと?


GM:「ヴァスターが下手人だったとしても、この国の人間の協力は必須だろうし、いきなりやって成功するわけがない。情報が無いのが、逆にクサイな」


レオン:まあ、月光通りに関わりが無いと分かっただけでも無駄ではなかった。


GM:「部下どもを叩き起こして店に待機させておく。人手が必要な時は、使いを走らせろ」


バジル:無言で一礼して、エルマンの店を出ます。





●レイ 現場の再調査


レイ:次は私の番ですが、さてどうしましょう?


レオン:犯人達は馬で来たの? 歩きで来たの?


GM:馬ですね。


アオイ:その場所は襲撃しやすい場所ですか?


GM:そうですね。自分が襲撃するのであればそこを選ぶと思います。ただ、ルート選択が不自然とか、そういった事は無いです。


レオン:馬が5頭居れば相当目立つだろう。足取りを追えないかな?


GM:目標値10の感知判定をしてみてください。


レイ:(ダイスを振る)12。


GM:ちっ、成功しやがったか(笑)。裏路地に入ると、大型の用水路にかかった橋の下に、馬一頭入れるくらいの大穴が開いています。


レイ:! これ、脱出路ですか?


GM:これは公式設定ですが、ログレスの地下には、古代の遺跡が何重にも張り巡らされているので、いきなり壁が崩れてこんな穴が出てくる事は珍しくないのです。


レイ:とにかく、入ってみます!


GM:止めた方が良いかと。広大な地下迷宮を調査しきれないでしょうし、賊がここを使ったとしても時間的にもう脱出済みです。


レイ:くっ! では、応援を呼んで他の部隊に調査を引き継いで、私は皆と合流します。





●レオン エトワールに情報を貰う


レオン:では現状で分かっている情報を持ってエトワール卿のところへ行きましょう。


GM:エトワールも部下を根こそぎ戦争準備に持っていかれて四苦八苦しているようです。



「オーレリー隊長から返答です。『現在国境へ移動準備中の為、人員は出せない』と」


 エトワールは、苦虫をかみつぶしたような表情で使いのコランタンに頷くと、「予想通りとは言え、奴も取り込まれたか」と呟いた。



レオン:「そちらも大変なようですね」


GM:「いやなに、いずこやに囚われておられるであろう姫のことを考えるとそうも言ってられんさ」



 エトワールは、直立不動でやり取りを見守るコランタンに「貴様もオーレリー隊長と合流しろ。出世に響くぞ?」と命じる。


「お言葉ですが隊長。内務省を蹴りだされた時点で小官の出世の道など絶たれております。あとは、やりたいようにやらせて頂くだけです」


 コランタンは表情一つ変えず敬礼し、「外で待っております」とその場を辞した。



レオン:エトワール卿は慕われておられるのですね。


GM:「(苦笑して)悔しいがヴァレリーの人を見る目は確かだったようだな」


レオン:「ではこちらも手短に」と言って今での情報を話しましょう。


GM:「そうか」


レオン:主戦派としてベアトリス枢機卿の名前が出ています。しかし、これはまだ推論でしかないが、彼女は状況を利用して利を得ようとは考えても状況そのものを作ろうとまで思っているとは考えにくい。


GM:「それは私も同意見だな」


レオン:「我々がむしろ疑うべきは、もっと世俗的に戦争と言う状況で利を得るものは居ないだろうかと言うところかと。この点は我々銃士よりも赤枝の騎士である貴方の方が詳しいのではないでしょうか?」


GM:「私も同じことを考えて調査をしてみた。しかし……」


レオン:しかし?


GM:「どこの商会も開戦の噂が流れて慌てて武器や糧秣を買いあさっている。手回しが悪すぎるのだ。もし戦争で儲ける気なら、だろう」


GM:「調査した結果、我々はそのセンはとりあえず放棄した。断言はできないが」


レオン:うーん、そう言えば今日の視察だけど。確か神殿の依頼だったよね? その予定を知りうる者は?


GM:一般には公開されていませんが、宮中には数え切れないほど居ます。


レオン:とりあえず大使館に行ってみる事にします。


GM:「大使館へ行くなら急いだ方がいい。何でも閉鎖寸前だそうだ」



 挨拶してその場を離れようとするバジルに、エトワールは手招きして見せる。

 何事かと、彼女の顔に耳を近づける。



GM:「(小声で)今、ヴァレリーが主戦派の幹部と末端の騎士の離間工作を行っている。『伝心の人形』を渡しておくから、姫を発見したら連絡しろ。騎士たちを掌握したヴァレリーが必ず駆け付ける」


レオン:相変わらず強かな御仁ですね。承知しました。当てにさせて頂きます。

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