妹が第3王子に惚れたというので成り上がることにする

おとら@五シリーズ商業化

冒険者から男爵に成り上がる

プロローグ

ここは、剣の国デュラン。


男爵の爵位を継いだばかりの俺は、慣れない書類仕事をしていた。


そんな時、ノックの音が聞こえる。


「ん?だれだ?入っていいぞ」


すると、可愛い妹のエリカが入ってきた。


「お?どうした?エリカ」


「あのね、お兄ちゃんに相談があって……」


「そうか、なんでも言うといい。可愛い妹の相談なら、何よりも優先だ」


「いや……それはそれで、どうかと思うよ?」


「で、どうした?」


「……あのね、ユウマお兄ちゃん……わたし好きな人ができたの!」


俺は、一瞬頭が真っ白になった。



そして、頭を机に打ちつける!

ゴン!という鈍い音がする。

痛い……どうやら、夢ではないらしい。


「ちょ!?お兄ちゃん!?何をしてるの!?」


「いや、現実逃避だ。可愛い妹が好きな人ができたとか言うから。それで……誰だ?」


俺は、覚悟を決めて聞いた。

そして、ろくでもない奴なら、秘密裏に葬り去ろうと思う。


「あ、あのね……第3王子のカロン様なの!」


俺の頭は、再び真っ白になる。




そして、起動した。

カロン?……ああ!あのヒョロイ奴か!

クソ!王子では葬り去れない!

むしろ、俺が葬り去られる!


「それって、あのヒョロイ奴のことか?」


「むー!お兄ちゃん!カロン様は優しくて、カッコイイからいいの!」


「そ、そうか。それは、すまなかった」


どうやら、本気のようだ。

執務室で腕組みをしながら、頭の中で整理してみる。


「えっと……妹がカロン様と結婚するには、まず男爵では駄目だ。最低でも子爵、出来れば伯爵でなければ。だが、カロン様には婚約者がいたはずだから……妹は側室ということに?可愛い妹が側室だと?許さん!だが、伯爵でさえ夢のまた夢なのに、侯爵なんか無理に決まってる……」


「いやいや、お兄ちゃん、声に出てるよ?お兄ちゃん…わたしはただ、お兄ちゃんに話を聞いて欲しかったの。流石に、お母さんとかには言えないもん」


「ん?付き合いたいとか、結婚したいという訳ではないのか?」


「それは……無理があるのは、わかってるし。かといって、すぐには諦められそうにないけど」


すると、エリカは思い出したように言う。


「あ、お兄ちゃん。今更だけど、お仕事の邪魔をしてごめんなさい」


「ふ、可愛い妹のためなら、仕事なんぞどうでもいい」


「いや、邪魔したわたしが言うのもあれだけど、ちゃんとやってね?」


「わかった、わかった」


「じゃあ、御飯の時間になったら呼ぶねー」


バタンと、執務室のドアが閉まった。


「さて、色々どうしたものかな……?」


俺も色々とがあったしな……。


俺は今日も含めて、ここ最近起きた色々な出来事を思い出してみる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る