第10話~10

特異な経験をしたものは排除される・・・

私と同じ仲間があの隠れキリシタンのような自助ミーティングで吐露した涙ながらの言葉の中に含まれる二次被害の現実だ。


人間って理解できないものには近づいてほしくない。って根柢の心理かも知れない。


私が初めて知った社会はキャバクラだったし、私を救いあげてくれたのは日本のTV界の創成期を担ってきた人とはいえ、出会った場所はナイトクラブの振付師だった。ただし、ナイトクラブとはいえ、「一流の」という特別な場所でもあったのだけれど。。


ある種の行き当たりばったりな人生のスタートでもあった事に今更ながら感謝した。

ああいった場所でないと生きられなかったとつくづく思う。

現在よりもっと古い考え方。。そして精神医療等発展していなかった時代。

OLや世間で言うきちんとした会社等であったならきっと生き抜けなかったのだろうと思う。。あの当時、私と同じ仲間の受けてきた社会の無理解からくる二次被害というものに免疫は無かったのだから。


今回の事は「痴漢をされた」言う行為だけに絞って話をした方が得策だとは思った。。主観、客観を考えたなら、フラッシュバックした「嫌な感触」というものは私特有の主観であり、それを言い出す事は私にとって損な気がした。しかし、私にとって一般的な女性の感覚というものは、想像でしかなく、一般的な女性が痴漢行為にどのように苦しむのか?は全くの未知の世界でもある。

自分の感覚では無く、ドラマやどこかの記事で見聞きした出来事。実感が伴わない異次元の話をどうやって話すのか?私には分からなかった。


おそらく会社は加害した者にどう対処するのか?より私の処遇をどうするのか?の方が問題なのだろう。。


しかし、私としても、このエピソードのタイトルにもなっている「輪廻」を考えた場合、簡単に泣き寝入りするわけにはいかなかった。こんな性被害まみれの人生。。私と同じ被害者だってここまでオンパレードのような人生は滅多にない。

ジュディスLハーマンと言うハーバード大学を卒業し、同大学の精神科の教授を経た人の著書「父娘 近親姦」という本に確か書かれていたと思うが、近親者による性被害を受けた者はレイプ被害も受けやすい。そして娼婦の中でも下級娼婦いわゆる道端で客を探すような下級の娼婦に陥りやすい。

実体験してきた私としては、まぁ、娼婦ではないけれど。。下級ということには納得できるところがある。自分の穢れは汚い泥であればあるほど、自分の身がきれいになったと錯覚出来るモノである。そしてそんな泥まみれな生活をしているから、レイプ被害も受けやすい。となってくるのだろう。。

しかし、私の近親姦の始まりは母が亡くなった後、11歳の終わりからである。4歳頃の他人からの性被害が始まりの身としてはせいぜいそこ止まりであってほしかった。今回の痴漢行為はそれらに比べれば大したことではないのかもしれないが、リアルタイムの被害というモノは過去のどのような被害よりも大きい。すべてが過去の出来事になった時に被害自体の大小が明らかになるものの、やはりリアルタイムの被害は一番の苦しみとなってくるようだ。。

まして、勤務中の出来事。休憩や更衣室でという事ではない。利用者様が居てその介護中の出来事なのだから、あり得ないでしょう。。しかも看護婦が!

そのうえ、「泣き寝入り」と言えば、私の人生で絶対に忘れてはならぬ出来事。

「母の死亡原因。。」これまでもが泣き寝入りだった事。。



医療関係者。という同一のキーワードまでついてくる。。


一体、「輪廻」はいつまで続くのだろう。。

そんな思いに会社の初動の対処の仕方が拍車をかけた。。

そのうえ、昨年から私が流そうとしてきた出来事も母が私に強いた目標「歌」にまつわる話なのだ。。


介護の仕事はやりがいを感じ、仕事は好きなのに、職場には納得いかないものばかりのような気がした。


そして、運命が私を嘲笑っているかのように思えた。。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る