第2話  実録‼ 怖い(?)夢の話 その2

 今回も昔見た夢の話。今回も怖くもない上に前回以上にオチもモヤモヤです。


 中学一年の暑い夏の夜に見た夢(真夏の夜の夢! だからどうしたってな)。お得なことに3部構成に分かれていて、以下箇条書きにします。


①何処かの電車の車窓から流れる光景。「陸中なんとか」という白い駅名の看板の後に松の木が生い茂った岬と青い海が一瞬だけ見える。


②場面が変わって多分冬の駅の待合室。木造の駅舎の中に達磨ストーブが炊かれていて、皆ストーブの上の鍋を笑顔でよそっている。立ち尽くしていると小学生くらいの女の子が満面の笑みで駆け寄って腰に抱き着いてくる。


③また場面が変わり人気のない夜のプラットホーム。しんしんと降る雪の中で物凄い悲壮感に打ちひしがれながらじっと両手を見つめる。


 その夢の中の悲壮感を引き摺ったままボロボロ泣きながら目が覚めた。


 それから10年近く経ち大学卒業間近に唐突にこの夢のことが気になり始め、広島の仕事を辞めて地元に帰ってから憑りつかれたように①で見た光景の場所を探して回った(何故か現実に存在するような直感があったんですよ)。


 で、嘘のような話、①の場所を見つけた。というか、偶然一人で旅行中(一人旅だよ独身だから)にその光景に出くわした。某沿岸の私鉄に挟まれたJR線(※現在は第3セクター線に統合されています)で、車窓からの景色も同じ、窓際に置いたペットボトルもタオルの位置もほぼ同じ。やっと辿り着いたと思いました。衝撃過ぎてその後の旅のあれこれは覚えてない。もっとも、その半年後に震災が起こったので今その場所がどうなっているか知りませんが。


 今これを書いていてまた気になり始めたのが②以降の夢の話。

 前述の通り当時の香竹は中学一年生。まだ同級生の女の子の方が男の子より背の高い二次性徴期手前の年代。小学生が腰に抱き着いてくるといったら当時の身長ではなく大人になってからの目の高さのはず。これが予知夢なのか知らないけれど、もしこれからその場面に出くわすことがあったとしたら、最後に猛烈に襲われた言いようのない悲しさは一体どんな理由からなのか。それを考えると、今から恐ろしくてなりません。……図らずも、うまい具合に「怖い」夢の話にまとまりましたね。良かった。


 そしてもう一つ気になるのが、笑顔で駆け寄ってきた女の子の件。なんか例えようもなく親しみと愛おしみを感じたんだけど、その分最後に一人ホームに立ち尽くした時の悲壮感が尋常じゃなかった。

 あの子はもしかしたら、いつか将来生まれてくる香竹の娘なのかもしれない。出来ることなら、夢で逢ったあの子にもう一度逢いたいと思う。

 ……とりあえず、早く嫁さん見つけよ。


 というような話。

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