第9話

教室を開くとそこには一人の男の姿があった。「入部希望の人ですか?」そう僕に声をかけたのは 僕のひとつ上の先輩の大山孝太郎という人物であった。僕は入部を希望しているわけではなかったがトントン拍子で手続きが進められ、晴れて入部してしまった。加藤に関しては付いてきただけなのに入部届を書かされてしまい僕からも謝罪の念を述べた。そうしていると放送室の奥にある小さな部屋から一人の女が出てきた。「入部おめでとう!私はこの部活の部長の浜田花音です!」彼女はこの部活の部長らしい。少しお惚けている顔をしているからこの人は大丈夫なのか...?と心配してしまう。その日はそれだけで解散した。

家に帰り、リビングに入るとそこには父さんの姿があった。父さんは

「座れ。」

と呟いた。僕は徐にダイニングに腰を下ろすと、そこには一枚のビデオカメラが置かれていた。

「これ、事件当日の様子が撮影されているビデオカメラだ。昨日、警視庁に匿名で送られてきた。」

そう言うと父はカメラを持って立ち上がり、テレビの方に向かった。そうしてカメラとテレビをコードで接続すると、テレビにはカメラの映像が映し出された。そこには当日の様子がはっきりと映し出されていた。建物に張り出されている「スーパー和田」という看板の下には、数え切れないほどの救急車が停車していた。周りからは悲鳴と心配の声が上がっていた。その声に隠れるように、僕はある事に気が付いた。微かにではあるが、確かな声で「にほ...恥だ!!地獄に堕ちろ!!」という声が聞こえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る