第4話

本日は聖ロイヤル女学園文化祭の日です。私にとっては2回目、アーシアにとっては初めての文化祭です


【アーシア・インジェント】

「うう、緊張してきた。」


私の横で落ち着きがなく、そわそわしているアーシアの姿だった


【セシリア・シークハルト】

「落ち着きなさい、アーシア。」


【アーシア・インジェント】

「申し訳ありません!」


【セシリア・シークハルト】

「はぁ~、しょうがないわね。」


私はアーシアを抱擁した


【アーシア・インジェント】

「ひゃっ!お、お姉様!」


【セシリア・シークハルト】

「落ち着いた?緊張した時は抱擁がいいって聞いたことがあるわ、ただし、それは異性には使わないでね、誤解されるから。」


【アーシア・インジェント】

「ひ、ひゃい。」


アーシアは顔を真っ赤にさせて私に返事をした


【シルビア・レイン】

「セシリア様、私にも抱擁を!」


【エリナ・アーカード】

「私も!」


その後、シルビアとエリナにも抱擁をし、二人は満足していた。そして舞台が開幕した


【セシリア・シークハルト】

「ああ、愛しのマリエット、私は君を思い出す度に心を締め付けられる!」


【エリナ・アーカード】

「あぁカイル殿下、私も殿下の事を思うと胸が張り裂けそうです。」


舞台では私が演じるカイル王子とエリナ演じるマリエットが愛の誓いを立てる演技をしていた。実はヒロインのマリエット役を獲得するのにアーシア、シルビア、エリナの他、多数の志願者が名乗り出ており、私の作ったくじ引きでエリナが選ばれた。エリナは歓喜の声をあげ、他は意気消沈していた。ちなみにシルビアとアーシアは家臣役を獲得した


【セシリア・シークハルト】

「マリエット。」


【エリナ・アーカード】

「カイル様。」


ラストシーン、私とエリナが抱擁した所で終わり、舞台は閉幕した。そして文化祭が終わり、打ち上げをした。乾杯の音頭は私が取ることにになりました


【セシリア・シークハルト】

「此度も無事に文化祭が終えることが出来ました。皆様の力があってこそ成しえたことです。では成功を祝して乾杯!」


【全校生徒】

「乾杯!」


乾杯の音頭を取った後、私はアーシアたちの下へ向かった


【アーシア・インジェント】

「お姉様、お疲れさまでした!」


【セシリア・シークハルト】

「お疲れさま、アーシア、貴方も初舞台、無事にやり遂げたわね。」


【アーシア・インジェント】

「お姉様のおかげです!」


【セシリア・シークハルト】

「ありがとう。」


【エリナ・アーカード】

「セシリア様、お疲れ様でした。」


【セシリア・シークハルト】

「お疲れさま、エリナ、初のヒロインになった感想は?」


【エリナ・アーカード】

「感無量です!お相手がセシリア様だったら尚更です!」


【アーシア・インジェント】

「羨ましい。」


【シルビア・レイン】

「セシリア様、お疲れさまです!」


【セシリア・シークハルト】

「お疲れさま、シルビア。」


【シルビア・レイン】

「セシリア様、大ニュースです!ノエル王太子とジュリア公爵令嬢がお忍びで文化祭に来ていたようです!」


何ですと!


【セシリア・シークハルト】

「詳しく教えてくれるかしら?」


【シルビア・レイン】

「はい!話によると御二方は聖ロイヤル女学園で逢引きの最中でしたが、ノエル王太子がジュリア様を置いて、突然走り出したそうなんです。ノエル王太子はどうやら誰かを探していたみたいです。」


【セシリア・シークハルト】

「なぜ誰かを探しているって分かったの?」


【シルビア・レイン】

「はい、ノエル王太子が一人一人に聞いていたそうですが、結局は見つからずに帰ってしまったようです。」


【アーシア・インジェント】

「誰を探していたのですかね?」


【セシリア・シークハルト】

「そうね(まさか、アーシアじゃないでしょうね)」


流れから行くと、アーシアじゃないのかしら?ゲームではノエルとアーシアは恋仲の関係だけど、アーシアは聖ロイヤル女学園に通っているから二人が出会うことはまずない。アーシアの口振りからまだ出会っていないと見えるわね


【エリナ・アーカード】

「まぁまぁ、浮気性の王太子なんか、どうでもいいとして今は打ち上げを楽しみましょうよ!」


【セシリア・シークハルト】

「そうね、今は打ち上げを楽しみましょう!」


【アーシア&シルビア&エリナ】

「賛成!」


打ち上げを楽しんでいたが、私だけは心のどこかで不安になっていた。一方、王宮ではノエル王太子は・・・・


【ノエル・シュヴァリエ】

「はぁ~、愛しの君はどこへ行ってしまったのだ。」


ノエルの思っている愛しの君が聖ロイヤル女学園にいることが分かり、文化祭の日に行ったが、見つからなかった


【ノエル・シュヴァリエ】

「はぁ~、私一人でも行きたかったのにジュリアの奴、私の邪魔をしおって!」


ノエルは本当は一人で聖ロイヤル女学園に行きたかったのだが、両親からジュリアも一緒に連れていけと命を受け、渋々連れてきたのだが、おかげで愛しの君に会うことができなかった


【ノエル・シュヴァリエ】

「聖ロイヤル女学園は男子禁制の女の花園、王族の男でも入ることが許されない、愛しの君と会えるのは来年か、はぁ~。」


ノエルは一人悶々としながら1日を過ごしたのである。一方、王室ではノエルの父親であるミカエル・シュヴァリエ国王陛下と母親であるレクス・シュヴァリエ王妃陛下が話し合っていた


【ミカエル・シュヴァリエ】

「はぁ~、あやつの女癖の悪さにも困ったものだ。」


【レクス・シュヴァリエ】

「さぁ、誰に似たのでしょうね?」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「ごほん。」


【レクス・シュヴァリエ】

「陛下、まさかとは思いますが、ノエルを廃嫡しようなどとは考えてませんわよね?」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「考えてはおらん、おらんが家臣の中にはあやつの素行の悪さと能力を疑う者がおるのだ。」


【レクス・シュヴァリエ】

「陛下!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「何じゃ!」


【レクス・シュヴァリエ】

「ノエルが愛しいとは思わないのですか!あの子は陛下と私が儲けた唯一の王子なのですよ!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「分かっておる(忌ま忌ましい女だ。)」


【レクス・シュヴァリエ】

「私の目の黒い内は、側妃の生んだ王子を絶対に国王の座には、つかせません!」


【ミカエル・シュヴァリエ】

「あい分かった(殺してやりたい!)」


ミカエルは妻であるレクスには頭が上がらないのには理由がある。ミカエルの両親がミカエルが10歳のころに流行り病で亡くなっており、急遽、宰相が自分の娘である15歳のレクスを即位したばかりのミカエルに嫁がせ、国王の外戚として権勢を握ったのである。またレクスも年上で気が強い性格だったため、ミカエルは逆らえないのである。レクスの父である宰相は既にこの世にはいないがレクスが実権を握っており、息子のノエルも好き勝手しているのである。そのころ、ジュリアの実家であるダグラス公爵邸では・・・・


【ダグラス公爵】

「ジュリア、今日はノエル殿下と聖ロイヤル女学園の文化祭に一緒に行ったと聞いたが。」


【ジュリア・ダグラス】

「はい、陛下の命で共に文化祭へ参りました。どうやらノエル王太子殿下は愛しの君という御方を探しに来たようです。」


【ダグラス公爵夫人】

「貴方、だから言ったのです!王太子殿下とのご婚約は安易にお受けするのは、およしくださいと!」


【ダグラス公爵】

「そうだな、今にして思えば殿下との婚約は失敗だったな。シークハルト公爵家同様、辞退すべきだった。すまなかったな、ジュリア。」


【ジュリア・ダグラス】

「いいえ、お父様のせいではありません!私がしっかりしていなかったから、殿下のお心を繋ぎ止めることができなかったのです。」


【ダグラス公爵夫人】

「ジュリアのせいではありません!殿下の女癖の悪さが原因です!娘がいながら他の女にうつつを抜かすなんて!」


【ダグラス公爵】

「それ以上、申すな。いつ誰が聞いているか分からないのだぞ!」


【ダグラス公爵夫人】

「申し訳ありません。」


【ジュリア・ダグラス】

「お父様、今からでも婚約を解消することができるでしょうか?」


【ダグラス公爵】

「うむ、そうしたいのは山々だが、王室にも面目がある。何より王妃様がお許しにはなるまい。陛下は王妃様に頭が上がらず、王妃様はノエル王太子殿下を大層溺愛しており、素行を諌めることができない。」


【ジュリア・ダグラス】

「では、どうすればいいのでしょうか?」


【ダグラス公爵】

「ジュリア、お前はノエル王太子殿下とは成るべく会うな!」


【ジュリア・ダグラス】

「お父様、よろしいのですか!」


【ダグラス公爵】

「昔は王妃様の実父である先の宰相が亡くなってからは多少、動けるようにはなった。王妃様の専横を憎んでいる者は沢山いる。王妃様を亡き者にすれば、ノエル王太子殿下の後ろ盾がいなくなる。」


お父様の発言に私は肝を冷やした


【ジュリア・ダグラス】

「お父様、それはあまりに危険なのでは!」


【ダグラス公爵】

「危険は承知だ。だが国とお前を救うには、覚悟せねばならぬさ。この国の公爵として父親としてな。幸い、王妃様は婚家である我等を警戒してはいない。」


お父様の決意は固かった


【ジュリア・ダグラス】

「お父様、分かりました。どうかお気をつけて。」


【ダグラス公爵】

「分かっている。」


ダグラス公爵は友人である王宮の侍医のキッベイを招いた


【ダグラス公爵】

「キッベイ殿、そなたに頼みがあるのだ。」


【キッベイ】

「何でしょうか?ダグラス公爵。」


【ダグラス公爵】

「実はな・・・・」


ダグラス公爵は密かに王妃暗殺に向けて暗躍していたのである



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