4キス 俺はロリコンじゃない

 俺は今高校にいる。空を眺め思う。あぁ…なんて良い空気なんだろう。3日ぶりに出所した気分だ。…そうか。俺はこの3日間、欠かさず幼女とデートしていたんだ。この気持ちを誰かに自慢したい。周囲のクラスメイトはひそひそ話をしている。


『アイツ、入学式の帰りに女児を押し倒した。』とか『小学生を誘拐して警察に捕まったらしい。』とか物騒な濡れ衣だ。フッ。そう僻むなよ。羨ましいのなら俺みたいに幼女からモテる魅力のある人間にならないと。


檸檬「麓介ちゃんんんんん!!」


 そんなことを考えていると背後から俺の名を叫び首を絞める者が現れた。彼女の名前は瀬田檸檬せたれもん。レモンの髪飾りをつけた幼なじみの高校1年生だ。入学式の日に同時に炭酸飲料を10本与えてくれた優しい女だ。だけどあまり関わりたくない。今、俺は絞殺されそうだ。苦しい。ギブだ。ギブ。


檸檬「あなたが幼女を押し倒して胸を触って連れ回していたのよね!?最低!!変態!!」


 檸檬は俺の首を絞めるだけではなく容赦なく蹴りも入れてきた。Mじゃないからご褒美ではない。


麓介「ち…違うんだ。聞いてくれ。」


 俺がわずかな声を振り絞ると檸檬は暴力をやめた。暴力反対。変態。


麓介「ゴホッ、ゴホッ。入学式の帰りは事故。2日目も事故。3日目も事故なんだ!」


檸檬「全部事故?」


麓介「そうなんだ。俺は何も悪くない!!」


檸檬「そうだったのね。でも3日間も事故る方も問題があると檸檬は思うの♡」


麓介「ほえ?」


檸檬「危険運転の大半はドライバー側の問題よ。3日間も連続で事故るドライバーって危険じゃない?お仕置きしてあげるわ♡」


麓介「やめてえええええ!!」


 あろうことか檸檬は俺にキスを迫ってきたんだ。このままではファーストキスは高校生になってしまう。それなら小学生の方が良かった。


檸檬「檸檬は優しいからぁ…炭酸飲料5本飲みで許してあげる♡」


 俺はショックだった。入学式は10本だったのに、たった半分の5本だ。女子児童とデートしている現実がそんなに許せないのか?そう考えながら俺は炭酸飲料を5本同時に飲む。教室のクラスメイトは全員引いている。


麓介「うぅ…」


 飲み終えた俺は床に倒れる。すると、彼女はこう言った。


檸檬「小学生よりも高校生の方がいいでしょ??ロリコンちゃん♪」


麓介「俺はロリコンじゃない…」


 必死に言葉を出した。なんて女だ。女児の魅力を何もわかっちゃいない。小学生は将来有望なんだぞ。檸檬は柚子とおっぱいの大きさは差程変わらない。同じ美乳なら柚子の方が良い。2日目のサイドテールと枇杷は貧乳だけれど。乳のことを差し引いても性格面が純情なら小学生の方が良い。全く誰だ檸檬を優しい女子だと思っていた奴は。


檸檬「そうなのね。えいっ!」


麓介「ろりっ!?」


 おっと、とつぜん踏まれたので思いがけない声をあげた。どうやら俺がロリコンを否定したことが気に入らないようだ。


麓介「それでも俺は…ロリコンじゃない!」


 俺のイケボが教室中に響き渡る。すると担任の先生が教室に入ってきた。


先生「うるさい…ってお前ら何やってんの!?」


檸檬「いやーん。この男にスカート覗かれたんですぅ…しくしく。」


 平気で嘘をつく。


先生「そうか。大変だったな。」


 あっさり返す。俺は心に誓った。この女許すまじ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る