第13話 暗黒物質

 結論から言うと、本日の戦果は上々であった。


 元々、エルフ族は森の中で暮らしていたこともあり、狩りの腕に秀でた種族であったらしい。

 リアの頑張りもあって俺たちは、ホロホロ鳥の他に食料となる野草・キノコ・果物も入手することができた。


 家に戻った俺は、洞窟の前に火をくべてホロホロ鳥を焼くことにした。



「……うん。これは美味いな!」



 外はパリっと中はジューシー!

 味付けは塩のみの素朴なものだが、それが逆に素材の味を引き立てているような気がする。

 

「主さまにそう言って頂けて何よりです。食料はまだまだ沢山ございますので、どんどん召し上げって下さい」


「ありがとう。リア」


 朝から美少女エルフの手料理を味わえるとは感激である。

 俺はリアに勧められるがままに次々とホロホロ鳥を平らげていく。


「ところでリア。疑問に思っていたことがあるんだけど。どうして俺は、元の世界では魔法を使えなかったんだろう? 俺のいた地球っていう世界では、人間なんて70億人近くいたんだが……魔法を使っているやつは見たことがなかったなー」


「……たしかに不思議な話ですね。魔力とは全ての生命が持っている原初の力。魔力が存在しないということは考えらませんから」

  

 リアは暫く「うーん」と頭を唸らせて。


「これは仮説に過ぎないのですが、おそらく主さまのいた地球という世界では、星そのものが暗黒物質(ダークマター)で構成されていたのではないでしょうか?」


「……暗黒物質(ダークマター)?」


「はい。暗黒物質(ダークマター)には、周囲の魔力を吸収して無効化する効果があります。私たちの世界でもごくごく少量ですが採取されることがあるのです」


「なるほど」


 そういう事情があるのならば、地球上の生物が魔法を使えないことにも頷ける。


 もっとも……今となっては確かめようのない話なんだろうけどな。

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