最強の種族が人間だった件 ~ エルフ嫁と始める異世界スローライフ ~

柑橘ゆすら

第1話 異世界に召喚される

 中途採用で入った健康食品会社に勤めてから3年くらいの月日が経つだろうか。

 俺の心身の疲労は既に限界を迎えようとしていた。


 会社での俺の仕事は健康食品の訪問販売である。


 営業マン、というと聞こえが良いが、その実態は一種の押し売りであった。


 1錠飲めば1キロ痩せるダイエットサプリメント。

 飲めばたちまち髪の毛がフサフサになる特製ドリンク。


 俺の会社はそんな効果があるか怪しい健康食品を販売して利益を得ている。


 こんな仕事でも定職につけているだけマシだろう。

 ずっと自分にそう言い聞かせてきたが、そろそろ自分を騙すのも嫌になってきた。



「どこでもいい……。ここではない……何処か別の世界に行きたい……」



 暫くベッドで蹲っていると俺の意識はやがて、深い微睡(まどろみ)の中に落ちていく。



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