こんな魔法少女達がいたら僕はもう…… ~魔法終末期でハーレム!?~

新浜 星路

第1話 Who are ユウ?

 今はまさに魔法終末期。人々は誰もが魔法により自由自在な力を手にし、その持て余す力に堕落していき衰退の一途を迎えていった。

 娯楽に溢れた世の中、或る者は子供を産むより自身の寿命を優先し、或る者は

何よりも若く美しくある事を優先した。

 いくら、延命ができたところで死んだ生命は生き返らない事に気づいたときは、全人口50分の1ほどになり絶滅の危機とまでなった。

 長寿のものが「結婚して、子供を産むのだ」といっても遊ぶことしか考えない若者は耳を貸さなかった。

この人類絶滅問題を解決しようと一人の少女は歴史の勉強をしていた。

「そもそも人はどうして子供を産むという流れができたのかしら。

今の人たちは何らかが足りないのよ、きっと。「昔の人にはあって今の人にはないもの」

と呟く少女は遥か古の書を図書館の倉庫から引っ張り出し、埃まみれのページをめくってみる。

「ええと、『人は恥じらいによる衝動で性欲が引き起こされる』

恥じらい……私にもそれぐらいあるわ。

これはとんだ的外れということかしら。

……いや、これはわりと難しくない問題ないじゃないかもしれないわ。

したくならないくらい娯楽に溢れているというなら、したくさせればいいのよ!

魔法学校の生徒会長がそのように思い至った。


――その頃、生徒会書記のユウ=ニコルは戦っていた。


閃光、爆破、閃光、爆破。

繰り返されていく鮮やかな色とそれらを失った灰色の煙。

それらを繰り出す二人がいた。

「確かユウだったな? 魔法学校の生徒程度でこの俺にここまでの深手を負わすとはな」

剣戟がぶつかる。

「それはどうもナバーゾさん。貴方の魔法は一度も見たことがないから苦戦しましたよ」

「魔法? ふふふ、これは魔法なんてチャチなもんじゃないぞ!」

「魔法ではない? ご冗談を。まあ今更そんなことどっちでもいいことです。貴方はもう死ぬのだから」

「死?……ククク、くだらない。生物の概念を話しているのか? それよりも自分の心配をしたほうがいい」

「おかしな言い方をしますね、貴方は神とでもいうのですか?」

魔法同士がぶつかり、爆音。

「いや!神ではないが、神の遣い、とでもいっておこうか」

「その神も貴方を倒せばわかりますね」

「倒す? 俺の攻撃を魔法と思っているお前が無理無理、無理ゲー」

「何をわからないことを言ってるんです……では、そろそろトドメといきましょうか!」

「無理ゲー……あの時代の言葉だったな!あぁ!そうだ!お前にサプラァイズをやるよ、姿から何までもよぉ」

しかし、ユウは聞かず唱える、終わらせるべき魔法を。

「世界を操る五族の神よ、この者を原始に還せ」

しかし、ナバーゾは全くをもって余裕な態度。

「あばよ、主に万歳、俺に一服」

黒い闇がナバーゾを一瞬で消し去った、ユウの魔法はナバーゾを吹き飛ばしたかのようだった。

「あれは、私の魔法……ではない」

冷たさを覚えた。足先のほうだった。

黒いものが迫っていた。ちょうどナバーゾを囲んだような闇が。

「な、なんだこれは。つめた、寒い」

黒いものはユウを足先から段々上半身を飲み込む。

「バカな、ナバーゾは死んだはず。やはり、噂は本当だったの、か」

闇はユウの感覚を奪っていく。

「し、死ぬのか。くそっ、私以外に誰かが倒さねばならないのに」

闇はユウの頭まですっぽり覆いこみ、静かに消え去った、ように見えたが

闇が突然ユウを吐き出した。

どれだけ経ったろうか。

静かな風が吹き、雨が静かに優しくユウの頬を撫でる。

「ふがっ、僕って死ななかったっけ」

しかし、誰もそれに答える者はいない。

「しかも、魔法装束っぽいの着てるし、ってことは!」

水溜りを覗き込む。

もちろん、そこにはユウの顔が――。

「誰だ!このイケメン!!!!!」

それは迷いの叫びではなく歓喜の叫び。

「いいいいいやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおう」

水溜りを叩きながら歓喜。歓喜に次ぐ歓喜。

それに答えるかのように雨は止み、黒い雲は光の射し込みに消えていく。

「僕は転生したんだああああああああああああっ」

この事件で、ユウは記憶喪失になったとされて現在に至る。



















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