呑まれて呑まれて飲んで

 途端に疲れ果ててしまったのでもう死ぬ事にした。


 本来であれば辞表を提出した後浴びる程酒を飲み首を吊ろうと思ったが上長が先方訪問のため断念。所属した組織に対してけじめをつけられないのは心苦しいがこれも縁である。さっさとかっくらって死ぬとしよう。


 ボトルを開けて食道に通す。空気が弾け、水が流入していく音が耳に入る。あぁこれが最後の酒かと感慨に更けるのも僅か。酒が気管へ溢れ大きく咳き込み辺り一面に安酒溜まりができできたまった。


 俺はこの状況で死ぬのか。


 そう思うと何もかも嫌になってしまい、そのまま床に潜り昼まで寝入るのだった。



 辞表を出さなかったのもわざわざ休みの前日に決行したのも、死ぬ気などなく、生きる事を考えていたからに他ならない。何をやるにしてもやりきれない。馬鹿な奴だよ俺は。

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