僕らの師匠は、優男で一匹狼な魔法使い。その悪夢を暴き、真実を探りだせ。

 負けず嫌いで一匹狼な魔法使いの師匠と、問題児だけれど才能に長けた少年三人の、師弟友情ファンタジー。

 舞台は、魔法や幻想種が息づく英国。魔法の素質を認められた者が入学するという魔法学校「アンブローズ・カレッジ」の卒業生で、今はフリーランスの魔法使いとして活躍している「アーチボルト・ウルフ」は、恩師の依頼によりカレッジを訪れます。
 恩師――銀の長髪に笑顔が地顔、年齢不詳の食えない教師・バロウッズ先生――に押し切られる形で、アーチは三人の少年たちの師匠を任されてしまったのでした。元よりフリーランス、危険をともなう仕事に子供を連れて行くわけにもいかず……と思い悩むアーチですが、どうやら三人は何者かに命を狙われているらしく――?

 冒頭からいきなり事件、テンポ良くストーリーが進み、不穏が襲いかかってからの、魔法バトル。ちなみにアーチ師匠はスーツケースをぶん回して戦います。魔法の詠唱も言葉遊びのような面白さで、口の減らない子供たちと口喧嘩では絶対に負けない師匠の掛け合いも非常に面白い。
 小気味良く進むストーリーの背景には、アーチの父が『魔法使いによって殺害された』事件が横たわっており、それが徐々に現在の事件ともリンクしていきます。謎解きミステーとしても文句なしに面白い、傑作だと思います。

 イギリス舞台の魔法モノ、ちょっと海外児童文学っぽさのある、大人と子供の友情物語。これでピンときた方は、間違いなくハマるんじゃないでしょうか。
 文庫本二冊分ほどに番外編付き。ぜひご一読ください。

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