第二章 英雄の胎動

15話『新天地』

故郷を旅立って、はや一月


「やっと着いた」


フリードはゲイストと呼ばれる街訪れていた。

ゲイストの街は、ゴート・スピリッツと言う伯爵の位を持つ貴族が治める街で、商業が発展していると有名な街である。

ちなみに、フリードの故郷の街はアルファングと言う。


そして今は街に入るため、門の列に並んでいるところである。


ついにフリードは番が来た


「よし次だ、そこで止まれ」

「何か身分を証明出来るものを持っているか?」


「冒険者プレートでもいいですか?」


「ああ、いいぞ」


「はい、これです」

そう言ってフリードはFランクと書かれた冒険者プレートを手渡す。


「確かに確認した、ほぉその歳で既にFランクになってるとは優秀なんだな」

そう言ってフリードにプレートを返却した。


「通っていいぞ、アルファングの街から、ここまで来るのにはとても疲れただろうゆっくりと休むといい」


「はい、ありがとうございます」


「ようこそゲイストの街へ!!」


そうして、フリードはゲイストの街にやってきた。


―――――――――――

フリードはゲイストの街並みを眺めながら観光をしていた。


(ん、なんかいい臭いがするな、あの屋台か)


「すいませーん、これ何を焼いてるんですか?」


「お、坊主これはな、オークの肉に特製のタレをつけて焼いたもんだ、買ってくか?」


「それじゃあ、1本お願いします」


「よしきた、はいよ」


「ありがとうございます、いくらですか?」


「銅貨5枚なんだが、坊主はこの街は初めてみたいだから、まけて4枚でいいぞ」


「いいんですか?ありがとうございます」



ちなみに、この国のお金は銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒金貨とあり順番に高価になっている。

銅貨5枚でパン一つ買えるぐらいだ

銅貨10枚で銀貨1枚

銀貨10枚で金貨1枚と、その硬貨10枚で上の硬貨1枚の価値になっている。



フリードは銅貨4枚を手渡す


「はい丁度」


フリードはオークの串焼きを一口食べたすると…

「おいしい……」


「ガハハッだろ?」


「はい、とってもおいしいです!!」


「はは、そういや坊主は冒険者なんだろ?」

屋台のおじさんはフリードの腰にある二振りの剣を見ながら問いかけた。


「はい、そうです」


「なら、敬語を使うのは出来るならやめた方がいいな」


「なんでですか?」


「冒険者でな敬語を使ってると舐められることがあるんだ」


「そうなんですか」


「ああ、だから敬語は出来るならやめた方がいいな」


「わかりました、いやわかったよ」


「それでいい」


屋台のおじさんは思い出したように付け足した


「ああ、勿論貴族様には敬語を使わんといけないからな、まぁ貴族様に会うことなんてそうないだろうがな」


坊主は強そうだからもしかしたら、あるかもなと言いガハハと笑った。


そんなこんなで、フリードは串焼きを食べ終わった。


「色々教えてくれてありがとな、えーと」


「ふっ、適当におっちゃんで良いぞ、そこらのガキにはそう呼ばれてる」


「じゃあおっちゃん、色々ありがとう串焼きおいしかった、またそのうち来るよ」


「まてまて、坊主の名は何て言うんだ?」


「俺の名前はフリードだ」


「フリードかよし覚えたぞ、じゃあまたな、毎日ここで屋台を開いてるから暇なときは買いに来いよ」


「ああ、じゃあまたなおっちゃん」


「おお」


そうしてフリードは屋台を後にした。


「良い街だな」


笑顔でそう呟きフリードは新天地での生活に思いを馳せた。

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