~動物霊~2

さてと、ここだな、佐藤さんの自宅は…


車を駐車場に止めた占竜は佐藤さんの部屋に向かう…


佐藤さんの部屋は102号室と…


占竜は102号室の前に人影があることに気づいた…


誰だろうと占竜はらして見てみると


佐藤さんが震えながら立っていた…



「あっ!


佐藤さん!


寒いのに外で待っていたのですか?」



「占竜さん!


はい、部屋の中が怖くて…


今日もでるんじゃないかと…」



寒い中ずっと外で待っていたのだろう…


唇が紫色になり震えながら話しているが


安心したのか少し笑顔を浮かべている…



「どうぞ、上がってください…


お茶いれますね…」



「お邪魔します」



部屋に入りお茶を飲みながら部屋を見渡す…


壁にかかっている時計をみると0時35分…


もうすぐうしこくだな…   ※(丑の刻は1時~3時)



丁度良い…


少し調べた後に直接対決といくかな…



お茶を飲み一息ついた占竜は佐藤さんに話しかけた…


「佐藤さん


各部屋を見せてもらっていいですか?」



「はいっ!


どうぞ!」



佐藤さんから了解をもらい


占竜は準備してきた道具入れからペンデュラムを取り出した…


説明【ペンデュラムとは、糸の先に水晶等の物がついている物で


探し物等に使う占術の道具の1つ


他の形をしている道具もあり総じてダウンジングと呼ばれる。】



ペンデュラムを手のひらにのせ


占竜がねんこもらすように何かを唱えている



「・・・サキク ウラトノカミヤマ オリマセマセ・・・」



小声で言っているため


佐藤さんには良く聞き取れなかった。



準備ができた占竜は立ち上がり


各部屋に移動を始めた…



ある部屋の押入の近くで急にクルクルクルと、ペンデュラムが回りだす!



「佐藤さん、この押入には何が入っています?


開けてもらってもいいですか?」



「はい、この中には実家から持ってきた荷物等ですが…」



佐藤さんは押入を開けて、何個かダンボールをだした…



1つのダンボールで異常にペンデュラムが反応している…



「このダンボール開けてもらっていいですか?」



佐藤さんはうなずくとダンボールを開けた…



そこには…


色んな物が入ってあったが


1つの物をペンデュラムがしめした…


これが呼び込みをかけているのか?


いや違うなぁ…



「佐藤さん


これは?」



「それは、実家で飼っていた竜って名前の犬の首輪です」



過去形か…



「飼っていた?」



「はい、寿命で数年前に亡くなったんです…


ずっと可愛がっていたから…


思い出にと実家から持ってきたんですが…


これが原因なのですか?」



「ちょっと待ってください…


霊気が凄いだけで原因とは限りません…


次に行きましょうか…」



占竜は首輪をテーブルの上に置くと


他に原因がないか探し出した…



「やはり寝室は霊気れいきが凄いな…」



占竜はふところから磁石じしゃくをとりだし見た…



裏鬼門うらきもんか…」



説明【鬼門きもんとは北東の方位で

昔から良くないとされる方位

南西が裏鬼門となる】



「玄関が鬼門で寝室が裏鬼門か…


笑える作りだな…」



と苦笑いを浮かべ占竜は皮肉ひにくをボソッとつぶやく…



となると…


原因は外か?


くぅ…


こりゃ、調べるのに日数が必要だぞ…


仕事つまっているからなぁ…


さて、どうしよう…



危険だが謎を男の子に直接聞くか…


割に合わない仕事だな…


覚悟を決めた占竜は佐藤さんに提案した…



「佐藤さん…


もうすぐ2時だし男の子を待ちましょうか?」



えっ!


と一瞬表情をこわばらせて


嫌ですっと即答されてしまった…



「大丈夫ですよ…


自分もいますし…


でてきたら男の子を捕まえて

 

迷子センターにでも連れて行きますからっ」



とつまらない冗談を笑いながら言うと


渋々しぶしぶながら佐藤さんは了承りょうしょうしてくれた…



「佐藤さんは何が起こっても


動いたり喋ったりはしないでくださいね」



佐藤さんは青ざめて首をタテにふるしかできなくなっていた…



佐藤さんには


いつも通りにベッドに入ってもらい


電気を消して寝てもらった…



その近くに椅子を持ってきて男の子が現れるのを待つ…


シ~ンっと静まり返った静寂せいじゃくの中…


カチカチと鳴っている時計の音が異常に大きく感じる…



2時15分くらいだろうか…



ペタペタと足音が聞こえ始めた…



佐藤さんが布団の中で震えているのがわかる…



さあ、正体をあらわせ!


なぜ佐藤さんを苦しめているのかを教えてもらうからな!


心の中で霊から姿をくらます呪文じゅもんを念じながら


男の子が部屋に入ってくるのを待つ…



部屋のドアが触ってもいないのにス~と開き


黒い影が入ってきた…



占竜はつばてのひらに吐き


まゆげにぬると黒い影を凝視ぎょうしした・・・



なるほど…



黒い影のような男の子で赤目に血の涙か…


さてと、何がのぞみだ…


じっと影を見ている占竜は影からにじみでる


うらみに気がついた…



しかし怨みだけではない…



悲しみ?


苦痛?



影は何かをうったえかけようとしている…


佐藤さんへの個人的な怨みではないな…



人間?


人間すべてにか?



しかし、何故このレベルなのに


佐藤さんにとりいてないのだ?


佐藤さんにとり憑き苦しめうったえることはできるレベルだぞ?…



ここまでしているに


何故とり憑いていないのだ?



黒い影に気をとられていた占竜が


ハッと佐藤さんが寝ているベッドを見る!



いつのまにか佐藤さんのベッドの真横にも何かがいるっ!



ヤバい!


これは聞いてないぞ…


佐藤さん気づいてなかったのか…



いんを組んでいる手が汗ばむ…


説明【印とは手で様々な形を作り

呪文と合わせることにより

効力を発揮する術の1つ】



マズいな二体いやがったか…


と思っていたら


なんとペタペタと足音が多数たすう聞こえだした…



なにぃ~!


日数かけた方が良かったかなと苦笑いしながら思ったが後の祭りだ…



部屋には黒い影の赤目の女の子や老人まで入ってきた…


何体いやがるんだ!


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