憤怒の魔女さん

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と子犬が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


カランコロン。

「いらっしゃいませ――」

「あ、サーちゃんじゃない。私の元を離れたと思えば、こんな所でお店を出してるなんていい御身分ね」

「あ、その節はどうも……」


この方は、前回来店したシーラさんと同じで、七つの大罪の1つである、憤怒の魔女ベファーナさん。私がこのお店を始める前、少しだけお世話になっていた魔女さんだ。

憤怒というだけあり、少しの事でも怒りを覚え怒鳴りだす。

そうなったベファーナさんはだれにも止められない。


「こちらの席どうぞ」

「こんな貧相な椅子に客を座らせてるの?客をなんだと思っているの?」

「あ、はい。すみません……」


この人は正直苦手だ。何故なら、私は怒られるのが嫌いだからだ。


「ご注文はどうなさいますか?」

「コーヒーだけでいいわ。それと、サーちゃんにお土産があるの」

「お土産?」


ベファーナさんは、胸元から巾着のような物を取り出し、手を突っ込んで何かを探し始めた。


「これよ!」

ベファーナさんがテーブルに置いたのは、魔女の世界で最も貴重とされているチョコレートだった。

「これイカルチョコレートじゃないですか!」


イカルチョコレートとは、何百年に数匹しか生まれる事の無いという生き物の血を使ったチョコレートなのだ。

一般の人が口にすると、吐き気や頭痛、最悪の場合命を落とす事もある物だけれど、魔女の世界では、超貴重チョコなのだ。


「お店が繁盛しているみたいだから、ちょっとした差し入れよ」

「ありがとうございます!」


ベファーナさんは、怒りっぽい所はあるけれど、実際はとても優しい魔女さんなのだ。


「このチョコ、シェアして食べましょう」

「はい!」


カランコロン。

「?」


すると、新たなお客様が来店した。


「ベファーナいる~?」


本日のウィッチカフェはここまで!如何だったでしょうか?

本日のお客様は憤怒の魔女ベファーナさん。そして、新たなお客様が?一体どんなお客様が来られたのでしょうか!


それでは、いい夢を🌙


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