第12話

あの後しばらく魔力操作を練習していたがそろそろ夕食のしたくをしないといけない。

アンナさんたちはまだ魔力操作の練習をしてから帰ると言うので、私たちは先に帰らせてもらった。

帰ったらあることを実験しようと思っていたしね。


まずは鍋に水を張り時間経過のアイテムBOXに入れて温度を100℃に設定して入れてみる。

ぬるま湯は出来たが熱湯まで程遠いわね。

しかし設定する所をよく見てみると、外部温度、内部温度の設定が変えられるようで、試しに内部温度を40℃に設定して見るとちょうどいい湯加減でちゃんと設定した温度になっているみたいだわ。


そのうち圧力鍋みたいになれば助かるわ。なんて考えつつ今度は大鍋に下処理をした鶏ガラと豚骨に野菜をそれぞれ入れて入れて内部温度80℃に設定して30分経過させる。

1度取り出してアクをとり、また30分と交互に繰り返してそれぞれ3時間分、出来上がったら布巾で濾して別の鍋にしまっておく。


2つの鍋を同時に作業していたのでそれでも1時間はかかってしまったが、それでもかなりの時短になったのでコレで他のことも試せるわね。

今日も定番になりつつあるフライドポテトも皮をむき水に1時間分さらして下ごしらえしておく、揚げてしまっておいても良いんだけれどもなんとなく作りたてを食べさせてあげたいかなってつい思っちゃうのよね。


今日は鶏ガラのだし巻き玉子は時間かかるのでこちらはどんどん焼いてアイテムBOXで時間停止させていく。

途中咲百合がおやつをせがんだので今日はパンを揚げて砂糖と蜂蜜がけの揚げパンにしてみたいわ。

本当なら砂糖だけでも良いんだけれどもやっぱりまだ高いから砂糖たっぷりのお菓子は難しいわ。


あとは…

唐揚げにしようかしら、本当ならハンバーグも作れたら良いんだけれどもミンチを大量に作るのは難しいから魔道具とかで作って貰えたらにしましょう。

乾燥ハーブに塩、ニンニク、オリーブオイルもどきで下味をつけてアイテムBOXで時間経過、小麦粉をまぶしたらまた時間停止アイテムBOXで保管する。

ちなみに私は唐揚げの時片栗粉派なのよね…

片栗粉も作りたいけれども調べたら芋をすりおろすらしくてちょっとこの前のヤスリはハードル高いわ…


でも今日はあのヤスリでチーズを削ってポテトにかけて出そうと思ってるの。みんなどんな反応するか楽しみだわ。


後は豚骨スープですいとん風のスープを作ったら完成。

後はステーキは多めに切り分けてあるし何とかなるわね。


タスマニアさんは明日の朝王都に戻るらしいから今夜は特に味わって食べると意気込んでいたけれども、日本では大した腕前じゃなかったのでやはりこそばゆいわね。


「フライドポテトのチーズがけです。」

うーんアンナさんヨダレが…

今夜も食堂にいっぱいの人が集まっている。

宿もお陰様で?満室で泊まれなかった人は高いお金払ってでも食べたいと並んで待つとまで言う人まで現れたのにはさすがに困ったわ。ほとんどの人がお酒を飲むのでかなりの時間を待つことになってなおかつ閉店の時間にすぐなってしまうのが分かっているのでコレは早々にどうにかしないといけないかもしれないわ。

そうそう、タスマニアさんが連れてきたロン君、今日も別室で大人数で来たタスマニアさんのお手伝いで来てくれたんだけれどご馳走様になるならって合間で食堂の方も手伝ってくれたりと大助かり、よく気の利く子なのでこのまま雇いたいくらいね。

ラストオーダー後にタスマニアさんの部屋に言ったんだけれども、昨日と今日のタスマニアさんのお連れ様に実はこの街の代官のマイク・フォートレス様もいたらしくて是非ウチに来ないか!とか言われちゃったけれどもそう言うのは性にあわないのでお断りしたらとてもガッカリしてたわね。

でも権力で無理矢理って人じゃなかったので「それなら1人料理人の見習いの子を貸してくださいな。その子が色々作れるようになってそちらに戻った時に何を作るかまでは私は関与しませんよ。」

この世界レシピはそれぞれが秘匿しているものとして門外不出が一般的みたいだけれどそれじゃ、サンクート様から頼まれた事と真逆になってしまうし、コレがきっかけでどんどん広まれば私の役目は果たせたことになると思うからちょうどいいと思うわ。


「え?いいんですか!?それなら1人と言わず何人でも!!!」

「ちょっと待ってください!それならうちの商会からも!!!」

あらら、タスマニアさんまで便乗してきたわ。


「それではそれぞれ1人ずつならどうですか?あまり沢山の人が増えても教えきれませんし、私と合わなくて辞めてしまうこともあるかと思いますので、その時は違う方にしてもらうか、この話はそれで終わりって事でお願いしますね。」


「是非とも!ユーコさんを不快にさせるような人選はしないようにしますので!よろしくお願いします。」

「あ、タスマニアさんのところの子はロン君でもいいですよ(笑)彼が料理に興味が有れば料理したこと無くても私は構わないので。」

「おお!それならさっそく確認してみます。」

マイク様なら後日でも大丈夫だけれども、タスマニアさんは明日の朝出発してしまうので早めに決めないといけないし、ロン君なら私も大歓迎。


タスマニアさんはそういうと、ダッシュで部屋からロン君が食堂で賄いを食べているところに行ってしまった。

「ユーコさんありがとうございます、私の方も早いうちに人選をして連れてきますのでよろしくお願いします。」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。」


「ユーコさん!」

タスマニアさんはロン君を連れてスグに戻ってきた。

「ロンは料理経験無いそうですが、ユーコさんがいいならやってみたいと言うのでお願いします。」

「ユーコさん、僕で良かった是非料理を教えてください!」

「はい、こちらこそよろしくお願いね。お給料は少ないかもしれないけれどもちゃんと出しますから。」

「ユーコさん!ロンの給料はコチラで負担しますので気にせずどんどんしごいてください!そして、独立できるようになったら店を出すことを許可して貰えたら嬉しいのですが。」

タスマニアさん、まだ諦めてなかったのね。

「ロン君さえ良ければその時期が来たら構いませんよ。」

「そこは、コチラで説得します。ロン!しっかり学んで技術を身につけるんだぞ!」

「はい!」

「ユーコさん、ウチから連れてくる料理人も給料は私が出しますので是非しごいてください。」

マイク様も給料はご自身で出してくれるみたい。

「では、お言葉に甘えさせていただきます。」


とりあえずロン君は明日から通いで昼食後から夜の仕込みから手伝いに来てもらうことが決まり、マイク様も数日中には人を連れてくることになったわ。


たった数日とは言え本当に色々と変化していてちょっと目まぐるしいけれどもしばらくがまだバタバタしてしまうのは仕方がないことかもしれないわね。

そう思いつつさっさと片付けを済ませて今日の日課を終わらせちゃいましょう。


由布子は気づいていなかったが、タスマニアさんとの出会いで本人の思っている以上に料理革命は進んでおり、のちにロン君が独立して開いたお店は王都で1番人気店になるまでにそう時間がかからないという事を。


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