第3話
サムジェスさんのお陰で入門イベント?は発生せず、銀貨1枚を払い10日間の仮の滞在許可証を貰えたが、その間に仕事と住居を見つけるかお金を払って滞在延長を申請するか何かしらのギルドで身分証明書を発行してもらわないといけないらしい。
サンクート様から貰ったお金は何かあった時のために無駄遣いはしたくないので出来るだけ節約しなければ…
「ユーコさんここが精霊のヤドリギだよ!」
サムジェスさんはわざわざ目的の宿屋まで送ってくれた。
「サムジェスさん色々とありがとうございます。」
「しゃむしゃん、ありがとぉ」
咲百合も城門手前で起きて人懐っこいサムジェスさんにはすぐ懐いた。
「サーユちゃん、また会おうね!」
「はい!」
「じゃ、俺は行きますね!しばらくこの街で商売してるので見かけたら声掛けてくれよ!」
「はい、何から何まで本当に助かりました。」
咲百合とサムジェスさんが見えなくなるまで手を振りいよいよ宿屋に入る。
「いらっしゃい」
「こんにちは、娘と2人で泊まりたいのですが空いていますか?」
入ってすぐのカウンターで可愛らしい感じのおばあちゃんが編み物をしていた。
「あぁ、大丈夫だよ!何泊にする?」
「とりあえず3泊でお願いします。」
「お嬢ちゃんが居るなら階段が無い方がいいね、ちょっと2人だと狭いかもしれないけど1階にも1人部屋があるけどそっちの方がいいかな?」
確かに咲百合はまだ小さいし階段の昇り降りは抱っこの事もあるので1階だと助かる。
一緒に寝ているのでどちらにしろベットは1つで十分だわ。
「そうですね、1階のお部屋をお願いします。」
「はいょ、1階は1人部屋だから1人銀貨1枚でお嬢ちゃんの分は食事代の銅貨30枚でいいよ。」
物価が分からないが、咲百合の分は子供料金みたいにして貰えたのは助かる。
「ありがとうございます、それでお願いします。」
「そしたら3泊で銀貨3枚と銅貨90枚だよ。」
「コレでお願いします。」
とりあえずピッタリ払う事も出来るけれどお金のレートを調べるためにも銀貨4枚を出してみる。
ちなみにココで金貨を出してみようかとも思ったけれど辞めておいた。変な人に目をつけられたら大変だし。
「おつり銅貨10枚ね」
なるほど、銀貨1枚と銅貨100枚が同額らしい。
「コレが鍵だよ!この通路の一番端の部屋だから、それと鍵を無くさないようにして、出かける時は預けていって欲しい」
「ありがとうございます。」
「夕飯は6の鐘から8の鐘の間までに食堂にきて食べとくれ。」
鐘の仕組みは何故か地球と同じ24時間で午前と午後に別れているらしく、覚えやすかったので助かった。
しかし、不味いご飯ってどんなのかしら…
サンクート様は食文化が発展してないからと言っていたけれども他の料理も気になるところお昼ご飯も食べていないしまだ3の鐘がなったばかりなのでなにか食べに出かけてもいいのかもしれないわね。
おばあちゃんから鍵を貰ってひとまず部屋に向かう。
入ってみるとこじんまりとしているけれどとさほど狭くなく質素ながらも綺麗にしているちいさなテーブルと椅子が一脚コレならしばらく仕事が見つかるまでここに泊まるのもいいかもしれない。
「ままぁ、おなかすいた」
「そうね、お散歩をしながら何かたべよくか。」
「うん!」
鍵を預け大通りの場所を聞いてまずは人の集まる所に行ってみる。
「「わぁ!」」
親子揃って大通りの風景にハモってしまった。
異世界定番の中世ヨーロッパに似ている街並みで広場に噴水があり出店が出ている。
出店では肉の焼ける匂いはするけれどなんだか生臭い?
ひとまず臭みの少なそうな肉串を1つ買ってみる。
「ままぁ これかたぁい」
確かに幼い子にはかなり硬めの肉が刺さっており臭みも残っている。
いわゆる血抜きが不完全?味付けも塩のみ?
これじゃ確かにサンクート様が食文化に力を入れたいと思うわけね。
しかも、宿の食事はコレより酷いって事かしら…
コレでも比較的お客さんの多いお店で買ったのに。
1本銅貨5枚とお手軽価格?とはいえもう買うつもりは無い、コレはサンクート様に貰ったハーブを早めに育てた方が良さそうな感じね。
「困ったわね…あ!あそこにパン屋さんがあるから行ってみようか」
「うん!まぁいのがいい」
咲百合はクリームパンが好きだけれども、この調子だと期待できない…
帰りに食材を売っているお店をチェックして早いところ料理のできる環境を整えないと行けないかもしれない。
「おくちパサパサ」
カチコチのパンまでは行かなかったけれども口から水分が無くなるパンと乾パンみたいな物しか売っていなかった。
幸い?飲み物はぬるかったが果物を絞った甘いジュースが売られており咲百合もこのジュースは気に入ってくれた。
この後市場を見つけ食材をいくつか購入してから宿に戻った。
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