娘と異世界でリスタート!?

千本桜

第1話

「ホントに異世界来ちゃった…」

気が付くと周りの景色が見慣れない大自然の中にいた。

そばには今の私にたった一つ残った宝物である幼い娘がまだ眠っている。


事の始まりは夫の浮気からだった。

仕事の付き合いで行ったお店で知り合った女性に入れあげてしまい、堅実で真面目だった夫は別人のようになり勝手に私の名前で借金した挙句の蒸発でまだ幼い娘と2人あわや着の身着のまま野垂れ死にする所で近所の自然公園で途方に暮れていた時、突然光に包まれて気付くと真っ白な世界にいたのだった。



『大橋 由布子さん、咲百合ちゃん』

どこから聞こえてるか分からないけれども不思議と気持ちが落ち着くような声で呼ばれる。


「だれですか?ここは?」


光に包まれた時に咄嗟に抱きしめた娘の咲百合は幸せそうに眠っていてしっかりと抱きしめ続ける。


『あなた方に手を差し伸べたいのです。そして、私の手伝いもお願いしたい。』


とりあえず私たちには危害を加える気は無さそうなので不思議な声に質問してみる。


「確かに私は色々あって困っていますが、今アナタのお手伝いが出来るほどの余裕はありません。」

持ち出せたのは僅かばかりの衣類と娘のおもちゃが数個だけで残っているお金もわずかしかないのに誰かも分からない人の手伝いなんてしてる場合じゃない。


『問題ありません、由布子さんが今の日本に未練が無ければ私が新しい環境で子育て出来るようにさせていただきます。その代わりに私のお願いを聞いて欲しいと言うだけですから。』

正直、怪しい闇金の催促から逃げ出してきたのでこのまま逃げられるならば日本に未練は無い。

私にはもう親や親戚は誰もいないし居なくなったところで誰も心配しないのだから。


「どこまで私の事情を知っているかは知りませんが、今の日本にいる限り借金取りに追われてしまうので未練は無いです。」


『おおよその事は把握しています。それを見越して由布子さんを選ばせていただきました

から。由布子さん、咲百合ちゃんと異世界に行ってみませんか?』


「はぃ!?」


『今日本で流行っているという異世界転移をお願いしたいのです。もちろん命の危険がある様な事をお願いするわけでは無いので安心してください。』


えっちょっと待って?咲百合がお腹にいる時に悪阻が酷くて寝たきりで暇を潰すために見ていたネット小説にハマって異世界転移とか転生モノも結構読んだけどまさか自分がそうなるの!?


『混乱するのも分かりますが、行って欲しいマルクートと言う世界は文化の発展の割に料理やお菓子の文化が乏しくて…発展するように色々試したのですが全く上手くいかず困っているのです。』


うーん、ぶっちゃけ私は料理や製菓にそんなに詳しくないのになんで私なんだろ…


『詳しくなくても大丈夫です。マルクートは魔法の存在する世界なのでいわゆるチートスキルやユニークスキルのようなモノを授けますので是非活用して、商人でも良いですし、料理人としてマルクートの食事文化を発展させて欲しいのです。』


うゎ、心の中も読まれちゃうんだ!


「うーん、ちなみにそのスキルってどんなのですか?」


『マルクートはステータス画面が基本的に本人のみ見えるので、そちらとりんリンクしたモノづくりアプリを3つまで二本にアクセス出来るようします。なにかご希望のアプリほ有りますか?』


「なんか既に行く前提で話が進んでいるけれども…ちなみに日本でほとぼりが覚めたら戻る事は?」


やっぱり咲百合にキチンと教育は受けさせて上げたいしね…


『申し訳ないのですが再び日本に戻ることは出来ません。咲百合ちゃんに教育をとの事ですが、そちら方面は充実した文化になりますので本人の努力次第では上級学院と呼ばれる大学のような所にも行けますよ。』


うーん、正直このまま日本にいても咲百合には苦労をかなりさせてしまう。ならば思い切って異世界でのんびり子育てしてもいいかもしれないし。

「分かりました、異世界に行きます。その代わり娘にもなにかスキルをお願いします。」


『ありがとうございます。咲百合ちゃんにもスキルを用意してあります!!異世界転移特典もつけます!それではスキルに使えるアプリを3つ選んでください!』


モノづくりアプリって言ってもなー

「クックサイトとイクミルと…」

うーん、普段このふたつしか使ってなかったので他のさいと内容までは分からないしなぁ


「あの、2つで良いのでその代わりアイテムBOX?みたいなのを時間停止や進行それに温度設定を私が任意で設定出来るものをください。」

ネット小説を読んでいてあまり出てこない機能だけど有れば便利かなって思っていた機能をダメもとで頼んでみたわ。


『うぅぅぅ、元々時間停止のアイテムBOXは転移特典としてつける予定でしたが、まぁいいでしょう、悪用さえしなければ問題ありませんが悪用するようでしたらアイテムBOXを取り上げると言う制約付きでしたら用意しましょう。』


「ありがとうございます。ちなみに言葉や文字は?」


『そちらも問題ありません。読み書きが出来るように転移特典としてそれも付いてきますので。』


「あとは娘のスキルとどのような形で転移するのかだけで教えてください。」


転生や転移モノではココの交渉が重要だと私はいつも読みながら思っていたので慎重に進めていく。


『咲百合ちゃんには、由布子さんと同じアイテムBOXと読み書きに困らないようなスキルそして、品種改良のスキルを授けます。』


「品種改良??」

そんなスキル使いこなせるのかしら…


『きっとしばらくしたら今ある食物の質に満足出来なくなるかと思うので…』


「うーん、使いこなせなかった時のために他にも何かオマケして下さい!」


『そうですね…努力次第で習得出来るスキルや魔法を少し習得しやすくする位でしたらなんとか』


「ありがとうございます!」

その後も細々聞いたり指定したりしてやっと安心して転移出来るようになった。


『やはり1度手酷く騙され、裏切られたのでかなり慎重になってますね…マルクートでは心安らかに楽しく子育てしてくださいね!良い縁が有れば再婚もですよ。』

一言余計ですよ…地味に心にグサリと刺さりましたから今。


あっ、

「あ、あの!とっても今更ですがアナタの名前は?」


『クスクス、今更ですが、マルクートの創造神サンクートです。神殿に来る際は良かったらお祈りしていってくださいね。それではそろそろ転移をお願いします。』


「サンクート様ありがとうございます。何が出来るか分かりませんがやれるだけやってみますね。」


『マルマリト王国のマルルと言う街の近くに転移させます、アイテムBOXに少し物資を入れておくのでしばらくはそれで生活出来ますがマルルの精霊のヤドリギと言う宿屋に向かってください、きっといい出会いが有りますよ。』


サンクート様がそう言うとまた光りつ包まれて今に至ったのだ。



━━━━━━━━━━━━━━━

もう1つの合間に気分転換に?書いておいたものです。

とりあえずストックがある程度出来たので3日連続更新しますが、その後は不定期で更新になりますのでよろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る