第13話国王の依頼、そしてユキとの関係(後編)

私は少し悩み「…纏めてはあるが…不確定要素も多くある、それでも構わない、と言うのなら貸し出すのは構わん」と言うとユウは「それでも構いません、きっと何処にある書物よりも信用できますから」と言ったため、私は自室へ向かう。思った通りリンは私の部屋で呑んでいたが気にすること無くノートを取り、店内へ戻る。

「…これだ…魔王だけでなく要注意人物についても纏めてあるが、ね」と言いユウの前に置いた。ユウはそのノートを読みながら「…不老不死の完成については…どう思われますか?」と聞いて来た為「不老不死…どの世界でも人間の永遠のテーマではある、そしてこの世界でなら代償さえ支払う事が出来るなら叶わない夢ではないだろうな」と私は答えた。ユウはその回答が帰ってくるとは思っていなかった様子でノートをめくる手を止め、目を白黒させながら私の顔を見ていた。

「…と言っても一度に数百、数千という人間を不老不死に出来る、という訳では無いがね」と私は続けて言った。ユウは声を震わせながら「…一体…どの様な代償を支払えば…そのような事が?」と聞いてきた為、私は溜息をつきながら「先程私はユキを不老不死の為などに君には貸さん、と言ったな?そういうことだよ」と言うがユウは理解ができていない様子だ、そのため「…回復魔法、というのがあるのは知っているな?あれの応用だ、一人の人間に並の魔術師なら数十から数百人分の自己回復魔法をかけさせ、それを維持させ続ける技術さえ確立させてしまえば出来る」

私のこの回答はユウの中では予想外すぎる内容だったようで私の言葉一つ一つの意味は理解が出来るが全ての意味は理解出来ていない、その様な様子だ。「…つまり一人の為に数十、数百の命を使い、どうにかしてその犠牲者達の魔力を維持させなければならない、その為の研究にどれだけの魔術師が犠牲になるか…まぁそれこそ天文学的な数字になるだろうな」と私が言うと何とかユウは私の言葉を整理しきれたようで「…凄まじい人が犠牲になるのは…理解出来ました…でもそれにユキさんが関係するのが分かりません」と言った。私は「…君の師匠から私の魔術は聞いているな?」と問うとユウは「…たしか…触った剣、刀、槍等の武器を魔力で作りだし、その武器を心象風景に保存、そして多くの魔力を使用し、付近に居る物全てを心象風景を具現化させた場所に閉じ込める、ですよね?」と言ったため私は頷き「それが出来るのが私がユキと魔術的に繋がっているからだ、私はユキの途方も無い量の魔力を使用し、心象風景を具現化させている」そこまで言うとユウも理解したようで「つまり…ユキさんが居れば多くの犠牲者が出なくても済む、という事ですね?」と言ったため私は静かに頷き「…その通りだ、だからそのような事にユキは巻き込ません、と私は言ったのだ」

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