03 ENDmarker 2.

「ねえ」


「うわっ」


「なんで隠れるのよ。入学式。見てたよ?」


「いや、ごめんなさい。あなたの身辺をざわつかせてしまった」


「なにが?」


「恋人がいるって、聞こえたから」


「うん。いる」


「あなたの恋人だから、きっと良い人なんだろうなあ」


「うん」


「写真。見ましたよ。僕ばっかり撮って」


「部室にあるものを撮ってるって言ったじゃない」


「僕も部室にはまあ、いましたけども」


「入学おめでとう。がんばったね。同じ学部」


「あなたに逢いたくて、がんばりました。もう遅いですけどね」


「なにが?」


「派手に首席で入学して、あのときできなかった告白を、って思ったのに。首席じゃなかったし」


「なによ」


「あなたの撮った写真。見て、がんばってました」


「わたしのフォルダ」


「大丈夫です。消しておきます」


「そっか。もう必要、ないもんね」


「じゃあ、ここで。あなたに逢えて、良かったですよ僕は」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る