実力が全てである

カエデ

第1話 電車

 今日から寮生活。


 神城高校に入学した月は初めての一人暮らしに少し心が躍る。






 「次は神城〜神城〜、、」


 アナウンスが流れ降りる時が来た。


 「きゃぁ、やめぇてくだぁぁさい。」

 

 月は電車に揺られて降りようと準備をしていると、そんな声が聞こえてきた。あぁ、痴漢か、


 『めんどうだ、関わらないでおこう』

 と、思い少し離れようとしたが誰かが俺の腕を掴んでいる。


 『気づかないふりをしたいが周りに何で思われるか、はぁめんどくさい』


 めんどうには関わらない月はいやいや助けることにした。

 

 「あの〜すいません。今時間大丈夫ですか?」


 俺は痴漢をしている40代の男性に声をかけた。


 「、、、」


 『無視かよ』

 無視された月は早いうちに次の手を使う。


 俺は小さな声で男性に

 「これ〜、見て下さい」と携帯を見せた。


 すると男性は、 

 怒りを俺にぶつけようと、狭い電車の中で拳を振り上げようとした。

 

 その時、隣から声がした。


 「ちょっと、そこの男!痴漢した上に殴ろうとするなんて嫌な人ね!」 

 

 その声は俺と同じ高校生だった。しかも、学校同じとか。

 

 俺はすぐにその場を去った。


 




 さっきの一件は彼女によって片づけられた。


 「あなた大丈夫?」彼女は痴漢されていた子に声をかけた。


 「だ、大丈夫です。かなり驚きましたが、 そ、それに助けていただいてありがとうございます!」


 「いえ、私は大した事はしてないわ。彼がほとんどしてくれていたから、それはそうと、さっきの高校生はどこに行ったか分かる?」


 「分かりません。私も知りたいです。お礼も言えてないですし。でも大丈夫だと思います!

制服が同じでしたから! 遅くなりましたが私の名前は神崎 鏡花です。よろしくお願いします。」


 「私は日野 夜。夜と書いてムーンって呼ぶんだけど、恥ずかしいからよるって呼んで。それにしても同じ学校かぁ〜、興味湧いてきたね」


 「は、はい!!」 

 周りの人が驚くような声で返事をした。

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