犠牲

春嵐

始章 第1話 女三人部隊

「すないぱぁぁぁぁ」


 全力で叫ぶ。


『わかった』


『いやうるさいから。耳が飛ぶわ』


 狙撃されると、一撃でダウンする。そういうゲーム。


 チームメイトが、素早く、確実に物陰に隠れる。


『で、どこよ?』


「建物2階。ふたり」


『ふたり?』


「芋(その場に伏せて動かない狙撃手)がふたり。目の前の建物2階です」


『芋掘り(狙撃手倒しの突撃)やるかあ』


「じゃあ、私が犠牲になります」


 物陰から飛び出して。


「うおおおあ」


『うるさいから。耳がしぬから』


 撃ってきた。


「すないぱぁぁぁぁ」


『わかった。わかったから』


『確認しました。がんばって走って』


 ボタン連打。ひたすら連打。スライディングして。ジャンプして。またスライディング。


「はやくっ。はやくしてっ。指がしぬっ」


『はい。おっけいです。倒しました』

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