間違い

 秋も深まるなか、その日は異常なほどむし暑かった。ここ最近は、冬の到来を告げるような寒い日が続き、ダウンジャケットやダッフルコートといった厚手の冬物に街が彩られていた。だが、その日は最高気温三十度と季節外れの高温で、まるで冬と夏が逆転したような異常気象だと告げると、彼女はおかしそうに笑ってこたえた。

「べつにいいじゃない。四季だって、自分の順番を間違えることくらいあるでしょう」

「きみが、僕のケーキを食べたみたいに?」

「そう。あなたが、私のプリンを食べたみたいに」

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