栄光と暴竜との出会い

【ゴブリン︰ハウンドと同じく一般的な魔物であり、あまり強い魔物ではないため群れで行動することが多い。知能が低く本能のままに行動することも多いが、中には大量の知識を溜め込んだ個体も存在する。】


「さて皆さん。ここが学園の図書館です。」

ガリア帝国建国記を読む前にミネルさんは図書館の説明をしてくれた。

「学園の図書館は高度な空間魔法で温度湿度を管理していて、本にカビが生えたり虫が湧いたりすることはありません。」

「それは素晴らしいですね。」

ミーシャさんが目をキラキラと光らせている。

「それに本棚に本を戻す際は自動で元の場所に収まるようになっています。本の貸し出しの際には学生証が必要になるのですが、紛失した場合は再発行できます。」

思ったよりに近代的な図書館で驚いた。

「それではガリア帝国建国記を読んでみましょうか。」

そう言ってミネルさんは水晶に手をかざす。すると文字が浮かび上がり、ガリア帝国建国記の位置を知らせてくれる。

「これって目録……ですか?」

「よくご存知ですね。これは図書館内の全ての本が検索できる魔法道具です。」

そうして数分後、本が自ら移動してきた。

「それでは読んでいきましょうか。指導者となったドワイト・ガリアはまず街道の整備から始めました。ガリア平原と首都、そして今のプロイツ王国、ゼーラント王国にあたるハインライン王国を結ぶ道を整備したのです。」

「ハインライン王国?」

初めて聞く国名だ。

「この時は帝国と同じく、周辺の部族や小国家が集まった連合国家だったようです。白い城壁も当時の王が築いたもので、現在の形になったのはドワイト・ガリアの死後からだと伝えられています。」

なるほど……それから俺達はミネルさんの朗読を聞きながら、ガリア帝国の建国から繁栄までの流れを学んでいくのであった。

「……以上がガリア帝国の歴史になります。」

ミネルさんの朗読が終わった頃には、夕日が図書館を照らしていた。俺は少し伸びをする。

「それでは案内を終了とさせて頂きます。私は学長という立場ではありますが、解剖学の教授でもあります。何か質問があれば何時でも解剖室に来て下さいね。」

そう言い残してミネルさんは去っていった。それから俺は図書館を出て、自分の部屋に戻ることにした。


――――――――――――――――――――――――――

「ヤッタゾ!!」

龍司は喜びの声をあげる。遂に人化を獲得できたからだ。レベルアップによる獲得分のスキルポイントで人化を獲得した龍司は、人化した影響により更にスキルを獲得する。

「ふぅ……これでようやくスタート地点に立った感じだな……」

そもそもオークロード戦以降、龍司は二つ名持ちの魔物として何度も登録されかけたが、リゼの口添えもあり登録されなかった。これでようやくギルド登録や、人族の国への入ることが可能になる。

しかしまだやることはある。まずは人の身体での戦闘に慣らさねばならない。龍司がこの世界でリザードマンとして生きた期間は決して長くないが、それでも彼の種族はリザードマンであることには変わりないのだ。

「それにしても……服どうするかね……」

黒曜石の様な光沢を放つ髪を撫でる。

「ギィィヤァア!!」

謎の雄叫びと共に地中から飛び出してきたのは、刺々しい鱗に覆われた巨体を持つ怪物、アトレナリザードである。

「コイツは……」

「グォオオオ……って龍司さんじゃないっすか!!」

「はあ?いやお前……まさか……」

「いや、久しぶりっすねぇ!!」

流暢に人語を喋っているアトレナリザードの正体は、27人のクラスメイトの一人、上城竜汰だった。

「それで龍司さんはこんなところにいるんすか?」

「俺もお前と同じで魔物だったんだよ。今は人化のスキルを獲得して、人間態になったってわけだ。」

「ほへぇ……そりゃまた大変だったっすね。」

「いやそんなことより、お前なんで魔物の身体でそんなペラペラ喋れるんだ?」

「ああ、それはっすね……」

リュウタ曰く、彼はこの平原に迷い込んでしまい、そこでアトラと呼ばれるゴブリンと遭遇してしまったらしい。その時にアトラを殺さずに捕獲したのだが、その際にレベルが上がり、同時に獲得したスキルが念話という物だったそうだ。その後、鑑定を使って竜汰はこの世界について調べたり、他の魔物達と交流したりしていた。

「その後、解読のスキルを手に入れて喋られるようになるまでの言語を習得できたんすよ。」

「なるほどなぁ……そういえばトモヤの奴も確か鑑定と解読持ってたな。」

「マジっすか!!他のクラスの連中はどんな状況なのか気になってたんすよね……」

「とりあえず人化のスキルも取得したし、あいつら合流しても良かったんだが……お前はどうする?」

「俺はもう少しこの平原の探索を続けるつもりっす。それにダチを置いてくなんて真似できないっすから。」

「そっか……じゃあ次の合流する時のことを考えて、お前も人化の取得しておいても良いんじゃないか?」

「了解っす!!」

そう言ってリュウタは地中に潜っていった。


――――――――――――――――――――――――――

現在のステータス

生命力:B

魔 力:C

体 力:C


攻撃力:B

防御力:C

魔力攻:D

魔力防:D

走 力:B


現在使用可能なスキル

●身体、精神、霊魂に影響するスキル

『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。

『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。

『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。

『仮説組立(レベル2)』考察によって生まれた仮説を組み合わせて信憑性がある考えを導き出す、また記憶力や思考力を高める。

『解読』文や言語を理解するスキル。

『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。

『熱感知』目視可能な範囲の温度変化を感知するスキル。

『多重加速(レベル2)』加速を重ねることにより、更に速度を上昇させるスキル。

『大蛇の育成者』タイタンの幼体を育てる者、レベルアップ時にタイタンのスキルを獲得することがある


●技術

『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。

『加工技術』加工の技術を高めるスキル。

『貫槍技術』貫通に特化した槍の技術を高める。

『斬槍技術』斬撃に特化した槍の技術を高める。


●耐性

『寒冷耐性(レベル4)』寒さを和らげて、活動しやすくする。

『苦痛耐性(レベル4)』痛みを和らげて、活動しやすくする。

『毒耐性(レベル1)』毒を弱体化させて、活動しやすくする。

『爆音耐性(レベル2)』爆音を和らげて、活動しやすくする。

『風圧耐性(レベル1)』風や衝撃に対するダメージを和らげて、活動しやすくする。


●魔法

『火魔法(レベル3)』火を操る魔法。

『水魔法(レベル1)』水を操る魔法。

『風魔法(レベル1)』風を操る魔法。

『時魔法(レベル1)』時を操る魔法。

『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。


●加護

『死者の加護』死した者から生きる者に与えられる加護。

『象兵の加護』ヤコバクから異種族に与えられる加護。

『大蛇の加護』タイタンから異種族に与えられる加護。


現在の持ち物

銀の槍(緑王):ヴィクター・アガレスの槍。オークロードの額にあった宝石の欠片で強化し緑王という名前が刻まれた。

冒険者カード:名前、性別、年齢が書かれたカード。特殊な魔法道具が使われているため個人を特定できる。

毛布:ハウンドの皮をつなぎ合わせた物。粗末だが、トモヤがこの世界で初めて作ったもの。

黄色の水晶:エレノアからのプレゼント。微かにオーラを感じる。

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