私だけに

店内に入ると、落ち着いた雰囲気でジャズが流れていた。周りを見ると本棚がたくさんあって。見ているだけでワクワクしてしまう。

「俺、落ち着きたい時とか、本だけに集中したい時はここに来るんです。」

「ここ、凄く素敵ですね…!」

「誰にも教えたくなかったくらい好きな場所なんですよね。」

「えぇ、そんな所…私が教えて貰って良かったんでしょうか…。」

「なぜか教えたくなったので…。あ、そう言えば名前、聞いてませんでしたね。教えて貰ってもいいですか??」

柳井美愛やない みあです!」

「俺は、枢木凛翔くるるぎ りとです。」

「よろしくお願いします!……あの、枢木さん、聞きたい事があるんですけど…。大学生ですか??」

「はい、1年です。柳井さんも大学生ですか??」

「私は3年です!!」

「3年か…。」

「年下に見えちゃいました…?」

「あ!いえ!もう少し上かな…と!ほらカフェに居る時しっかりしてるから…。」

私は嬉しくなった。しっかりしてるってあんまり言われたことなかったから。

「ほんとに…?凄く嬉しい!枢木さんは雰囲気が大人っぽくて、年上かなって思ってました。」

「そうですか…?ありがとうございます、大人っぽいって言われるの、なんだか嬉しいです。」

照れた笑顔で言う、枢木さんに見とれてしまう。

見とれていると、枢木さんが

「………あ、良かったら本、選びに行きませんか?」

と言ってくれた。

「あっ、はい!行きましょう!」

私は慌てて返事をした。

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