第13話 次代の司書


「どうやら、ご理解いただけたようですね」


「ええ! 本当に素晴らしいです」


「それでは、ここから大事なお話を致しましょう」


「なんでしょう?」


「その話は私がするわ」


 そう言ってアイはフェイさんの前に躍り出て私に挑戦的な目を向ける。


「あなたを此処に呼び出した本当の理由はね、あなたに今の世代に司書になって欲しいの」


 突然の申し出に、開いた口が塞がらなかった。我に返って笑い飛ばそうともしたが二人の真面目な視線を受けて結局笑うことはできなかった。


「……本当に?」


「勿論。真面目な話よ」


「そんな。無理よ」


「どうして?」


「どうしてって……。私にそんな能力はないわ」


「そんなの、これから養っていけばいいのよ。フェイだってここに来たときはあなたより若かったもの」


 視線を落とすと、手元に握られたカメラに気が付く。いつの間にか持ってきていたようだ。そうだ、例えこの図書館という名誉にあずかれたとしても、まずこの真実を世の中に示してからの方が良いではないか。元々、私はここで星霜遺跡の存在を証明するために来たのだから。


「あの、せめて、もう少し此処のことを研究して学会で発表してからではダメかしら」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る