俺の武器は点鼻薬 〔しばらく投稿しません〕

39ZOU

第1話 俺の武器は点鼻薬!?

やあ。俺の名前は華水はなみず 詰男つみお

生前は高校2年生。下に妹が2人いる。13歳と10歳だ。彼女はいない。趣味は読書とゲーム。動物アレルギー、杉アレルギー、その他もろもろのアレルギーを兼ね備えた鼻詰まり男さ。アニメなら多分今の背景は真っ白で俺が佇んでいると思う。


そして現在は異世界転生された身。今こうして画面の前のお友達に話している。

とりあえず俺の物語を聞いてくれや。



――――――――――――――――――

俺、華水 詰男は愉快にベッドから起きる。

カーテンを開けると眩しい光が目に注ぐ。

ああ、いい朝だ。人間は起きたら日光を浴びるのが良いらしい。俺はハンガーにかけてある制服を着る。今日は夏休みが終わり、いよいよ二学期が始まる日だ。


1階でお母さんがご飯を作って待っているだろう。いかなきゃな。そして歩きながら机に置いてある点鼻薬を鼻に吹きかける。使用後はおそろしく早い速度で蓋をし、ポケットへとしまった。


実は俺はアレルギー性鼻炎を運命に背負っており、点鼻薬がないとまともに生きていくことが出来ない身である。それなのにもかかわらず妹達が動物好きのせいで家には犬、ウサギ、フェレット、猫などと多くの動物を飼っている。


被害は俺だけでなく両親にもあった。金がキツい。それだけの動物を飼っているのだ。毎月動物に使う金がとんでもないことになっている。可愛いけどね。俺が1回へ降りるともうご飯は出来ていた。ご飯に味噌汁。野菜サラダ、目玉焼き、ヨーグルト。うむ、普通だな。食事中に同じく食事をしていた親父が話しかけてくる。


「詰男。今日から学校だな。二学期は彼女作れるよう頑張れよ!」


「努力はします」


残念ながら俺は年齢﹦彼女いない歴だ。

いつか出来たらいいな。そんな願いを心に秘めて食事後に玄関へと向かう。あらかじめ置いておいたカバンを持って扉を開けた。


「行ってきまーす」


「行ってらっしゃーい」


お母さんの声がする。残念ながら妹達はまだ寝ているためその言葉はない。俺は電車通学で高校まで約1時間半かけて行くのだ。その分早く起きなければならない。そんな通学時間長くてキツくないの?と思うかもしてないがスマホゲームのデイリーミッションをやっておけばいい時間になる。


「ああ、久しぶりの学校だ。杉村や山田は元気にしているかな?」


家からは約5分の駅。改札口を通り、俺は心を踊らせて駅のホームの階段を登っていたよ。ちなみに俺は最速でホームへ辿り着くために道のイン側をつく。だがそこで事件は起こった。階段は降りる側になった。

俺は前を向いて歩いていたから下にいた伏兵には気づかなかった。


「あっ」


足に何かが引っかかった感じがした。


(なんか世界が回ってる~)


………やべぇ。俺氏、階段から転落中でごさいます。


ズドンッ!


「うっ!」


頭部が思いっきり地面へと叩きつけられる。

血まみれの顔を上げ、階段を見上げてみると

バカップルの男側のやつが階段の手前の壁にもたれながら足を伸ばしていた。男は俺に気づいたようだ。その途端にスマホを構えて俺を撮影している。てめぇ!


俺の周りにホームにいた人が集まってくる。


「救急車を呼べ!早く!」


「大丈夫か!しっかりしろ!おい!」


ああ、なんか聞こえるよ。

だんだん視界がぼやけてきたな………。

痛みすらもう感じない。これが死ってやつか。まだ死にたくなかったよ。せめて彼女を手に入れてから………。


クソが!そもそも男がスマホをいじっていないで彼女と普通に歩いていれば!


あのバカップル共を永遠に呪ってやる。別れてそのまま借金を背負う呪いをな!あとそのスマホに呪いの映像として消しても残るようにしてやる!俺はオーブとして貴様の記憶で生き続けるのだ!


「…………い、………きろ!……あ…」


音まで消え、完全に何も見えなくなった瞬間俺の意識はなくなった。



――――――――――――――――――

「お主、本当に可哀想じゃな………」


「あれ?ここはどこ?俺死んだんだろ?」


「お主は死んだよ。ここはいわゆる天国というやつじゃな。あ、わしは天使ね。お主を導く役」


俺が目を覚ますとそこには髭を生やした白髪のじじいがいた。純白の服。そして、翼と輪っかがついている。とても胡散臭い。本当に天使かは信じられないが俺が死んだというのは事実だろう。


「あの後どうなった?あの野郎はどうした」


「ああ、お主は救急車が来る前にはもう息はなかったそうな。家族は凄い泣いてた。あと山田と杉村ってやつも泣いてた。本当に可哀想にな。お主のいう野郎は動画を撮影したあとイン○タに


[目の前で人が死んだんだけどwwww]


っていうのを投稿してたのう」


「ひでぇ話だ。とんでもねぇ野郎だ。これだから最近の若者はよぉ。んで俺の呪いは作動したか?」


「一応作動はしたみたいよ。この人殺しとか彼女に言われてビンタされ、警察に通報されてバイバイ。あと、金使いの荒い彼女のために闇金から金を借りていて、その利子がアホみたいになっていたそうじゃ。動画には鼻くそのような黒い物が所々に見られたのう」


通報されたなら良し。俺は死んだけど。あと、呪いはもうちょっと頑張ってくれ。せめてオーブレベルにはなってくれよ…。俺の魂を鼻くそ呼ばわりしないでね。


「では、本題に入ろうかのう」


じじいが髭を触りながら俺に話しをする。


「この天国にはルールがあってな、10代で死んでしまった子をもう一度別の世界でやり直させるチャンスを与えるとな。だからお主はその対象じゃな」



「ほーん。それはありがたい」


このままでは死ぬに死ねない(もう死んでる)からな。俺はじじいに頼んだ。


「んじゃ、頼むわ」


「おい、待てぃ。話しは終わってないぞう。お主ら死んでしまった子。いわゆる転生者は別の世界に送られるが変わりに勇者としてその世界を救ってもらうぞ。魔王に襲われている世界がいくらあると思っておる。そりゃあたくさんよ」


「で、俺に勇者となって世界を救えと。俺ただの人間よ?どう戦うんだよ」


「大丈夫だ。問題ない(イー○ック感)。お主ら転生者にはいい感じの武器が配られるからのう。それは転生者の望む最強の物になるとのこと。多分大丈夫じゃろう」


最強の武器か………。憧れるな……。それで無双して俺はモテる!固く決意した。

俺はじじいにGood、と指をだす。


「では、そろそろじゃ。健闘を祈るぞい!」


その瞬間に俺を光が包んだ。だんだん死んだ時と同じように意識が失われていく。


(異世界転生ってやつか。楽しみだぜ!)


俺がそう思った時には意識がなくなった。



――――――――――――――――――

うっ、意識が覚醒していく。辺りを見渡してみると草原。後ろには自分の身長の数倍もある木。草原の木陰で俺は寝ていたようだ。


「本当に異世界転生したんだな……」


俺はまず自分の状況を確認するために色々と自分をさばくった。すると制服のポケットの中に手紙が入っていた。誰のだろうか。気になって開いてみる。


『やっほー。異世界転生した気分はどうじゃ?生を感じられて嬉しいか?……そんなことはいいんじゃ。とりあえずその世界のことを教えたる。まずその世界は魔王の侵攻にあっているんじゃ。でもその世界の人が頑張って止めてくれてるから支配はされておらんぞ。だが最近は押され気味らしい。そこで君が頑張ってやつらを倒すんじゃ!』


ふーん。俺には魔王を倒す使命があるのか…。


『あと、その世界は君のいた世界でいうRPG的な感じで、ステータスとかあるのよ。試しに[コール]って言ってみ?』


「コール。…………おお、なんかステータス画面が出てきやがったぜ。モン○ンみたいなステータス画面だな」


『後は大体ゲームをやっていたお主ならなんとかなるじゃろう。頑張ってちょ。武器も入っているからね』


「モ○ハンならやったことあるからなんとなく操作が分かる気がする…」


俺はステータスを確認してみた。そこには驚愕の数字が並んでいた。


「火炎耐性:1、攻撃力:1、防御力:30………、んだよアレルギー性鼻炎って。なんか攻撃力1が霞んで見えるくらいクソみてぇなステータスだな。つまり俺は異世界転生したとしても鼻詰まりからはのがれられないというのか」


ほとんどのステータスが1だった。何故か特殊攻撃と防御力というのだけ30あったけど高いのかな?いつか誰かに聞いてみよう。

ステータスをあらかた見終わった俺は持ち物を開く。そのにはただ1つ、プレゼントと書いてある物が入っている。


「さて、何かみせてもらうぞ。魔剣か?エクスカリバーか?デュランダル?さあ、何だ!」


俺はプレゼントを画面に触れてタッチする。するとプレゼントの箱が具現化し、地面に落ちて割れた。中身がだんだんと見えてくる。


「………………………………………………」

点鼻薬が俺のチート武器!いぇい!これで無双するぞぉ~。俺は軽くイキっていた。そう、武器が判明するまで。


「………って、点鼻薬かよ!え、これ………あ、普通に無理じゃね?どうすんのよ。ん?説明文になんか書いてあるぞ?えーと、なになに?決して中の薬が無くならない。そして市販のやつより効き目と効果時間が長いよ!か。んで、ああ。こいつは特殊攻撃の扱いなのか。チートっぽいようでチートじゃねぇ!」


さすがにこれはねぇ……。勇者に与えるような物じゃないよなぁ。これが自身の望む最強の武器か。確かに死ぬ前の世界だと点鼻薬は俺の片割れと言ってもいいくらいには愛していた気がする。


「仕方ない。これは現実。受け入れろ。そして進め!」


自分にいい聞かせた。俺は勇者。世界を救いに行くんだ!


「まずは街に行きたいなぁ。もっとこの世界の構造を理解したいし」


俺は手にしたチート点鼻薬の蓋を外し、鼻に薬を吹きかける。うむ。爽快感が今までとは違っていいね。


おそろしく早い速度で蓋を閉じ、ポケットにしまう。


地図もないのに俺は分からぬ世界の道を歩き始めるのであった。

















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