冷蔵庫の残り物をお知らせ下さい【レシピ考案するよ】

福倉 真世

第1話 鶏むね肉と豆腐と古くなったキムチ。それに、もずく。

 私がまだtwitterをやっていた頃のこと。ひょんなことから相互フォローの方とスカイプで話す機会に恵まれた。


 その方は統合失調症であるにも関わらず福祉職に就いており、物腰も柔らかく、尊敬できる方だった。お名前を挙げるのは抵抗があるので仮名で綾鷹さんとする。(今、文章を書きながら飲んでいるのがたまたま綾鷹だったから・笑)


 綾鷹さんとスカイプで、何とか自分の特技をお金につなげたいんですがうまくいかないんですよねぇ。なんて話をしていた。

 綾鷹さんは自分もそうですよー、なんて言っていたがフルタイムでお仕事している時点で、家族によりかからず一人暮らししているという事実もあいまって、十分すぎるぐらいすごいなあ、と後光が差して見える私だった。


 そう。そんな会話をしている中でお互いに「お金につながりそうな」特技を挙げていったのだ。


 綾鷹さんは「ボーカロイドで作曲ができます」というのに対して私は「残り物から料理を考案するのが得意です」と言った。


 勝負あり。負け確定である。


 ……まあ、それはそれとして、話の流れから綾鷹さんの冷蔵庫の残り物を聞くことになった。


 鶏むね肉と豆腐と古くなったキムチともずくを持て余しているらしい。


「鶏むね肉って安いからつい買っちゃうんですけど、ぱさぱさするじゃないですか。唐揚げにでもすればいいんだろうけど、にんにくとかショウガとかもないし、油使うの面倒だし」

「なるほどー。ぱさぱさするのと油つかうのが嫌なんですね。じゃあ水晶鶏はどうでしょう?」

「水晶鶏?」

「鶏むね肉をそぎ切りか薄切りにして、塩を軽く振って下味をつけて、片栗粉をまんべんなく薄く表面にまぶしたら、沸騰したお湯に入れて浮いてくるまで湯がくだけで出来上がりです。しっとりつるんとして、ポン酢で食べてもいけますし、叩いた梅干しにちょっとみりんを足したものなんてあったら最高ですよ」

「残念ながら、片栗粉がないんだよね」

「あらー、そうなんですか。まあ、男の人の一人暮らしってそんなものですよね。だったら鶏ハムかなあ」

「鶏ハム?」

「鶏むね肉と砂糖かハチミツ、あと塩があれば出来ますよ。ちょっと時間かかりますけれど」

「鶏むね肉がハムみたいになるの?」

「水分がこう、いい感じに抜けて、ぱさつかず密度が濃い鶏肉になるんですよー。味も美味しいし」

「作り方は?」

「ネットに沢山レシピが落ちてますけど、まず最初に鶏むね肉の皮を外して、砂糖かハチミツを小さじ1~大さじ1ぐらいの間ですりこんで、そのあと、塩も同じぐらいの量をまぶして、すりこんでおくんです。それをラップで包んで、一晩おいたら、次の日に塩と砂糖をよく洗い流して、沸騰したお湯で茹でるんです。で、大事なのがこのとき多めのお湯で茹でることと、茹でてもすぐ取り出さないで茹でた鶏むね肉を沸騰したお湯が冷めるまで放置することですね。それで食べるときは薄く切って食べて下さい。ラップに包むときに鶏むね肉を丸めて成形するとハムっぽくなりますよ。茹でたお湯は出汁が出て鶏スープにもなります」

「へー! それは手軽でいいね。古いキムチはどうすればいいのかな」

「私ならごま油で炒めて酸味を飛ばしてから、鶏スープを注いで味噌仕立てにしちゃいますね。味噌がないならお醤油かめんつゆでも味付けできますけど。お豆腐の半分をそこに投入してキムチ鍋風にするっていうのはどうでしょう?」

「もう半分のお豆腐はどうするの?」

「細かく切って、もずくと合えて酢の物にするとおいしいと思いますよ。豆腐ともずくって意外な組み合わせですけど、結構合うんですよ」

「いいこと聞いたなー。早速やってみるよー」


はい、是非! と言いながら私は「このレシピ考案でいくら取れると思います?」と聞いていた。


がめついとか言わない! まさか綾鷹さんから、そして読者さんから、本当にお金を取る気はないのだ。


ただ純粋に自分の能力が金額的にみればどれだけの価値か可視化したかったのだ。


「うーん、そうだね。500円なら嬉しいかな」


500円かー! そうかー。


真世、頑張る。


……というわけで、読者のみなさま、近況ノートでも、ここのコメント欄でも、どこでもいいので冷蔵庫の残り物、教えてください。


真世がレシピ、考案いたします!

ちなみに、どうしてーも、500円払いたい方はnoteのこの記事を読んで支援してくださるとうれしいです。

https://note.com/mayoi_cat/n/n6889e2651c98


ではでは。


【考案レシピ分量 一人分】

「鶏ハム」

・鶏むね肉……1枚(120g~200g弱くらい)

・砂糖かハチミツ……小さじ1~大さじ1(鶏むね肉の大きさによって微調整してください)

・塩……小さじ1~おおさじ1(同上)

・水(鶏むね肉を茹でる用)……2ℓは欲しい

・ラップ


作り方

1.鶏むね肉の皮を剥いで、鶏むね肉に砂糖かハチミツをすりこむ。

そのあと、洗い流さず、塩をすりこむ。

2.ラップでくるむ。このとき丸く成形すると出来上がりがハムっぽくなる。うまく出来ないならタコ糸を使おう。

3.一晩おいたら、次の日、鶏むね肉にすりこんだ調味料を洗い流す

4.大きな鍋にお湯2ℓ以上を沸かし、洗った鶏むね肉を入れて茹でる。目安としては洗った鶏むね肉を淹れたら一度沸騰が収まるはずなので、時間を置き、再度沸騰して2分ぐらいしたら火を止める感じで。

5.火を止めたら肉を取り出さずゆで汁が冷めるまで放置。

6.完全にゆで汁が冷めたら鶏むね肉を取り出して薄く切っていただく。

(ゆで汁は鶏スープになります)


「キムチ鍋」

・古くなったキムチ……適量

(・鶏皮←鶏ハムの副産物……1枚。無いなら無いで全然かまわない)

(・鶏スープ←鶏ハムの副産物その2。無いならただの水に適当なだしを入れて下さい。鶏ガラスープのもとでもウェイパーでもほんだしでも。もちろん、本格的に昆布とか鰹節とか使っても全然OK)……適量(一人分なら500mlから1ℓちょっとぐらいかな)

・味噌(または醤油かめんつゆ)……大さじ1~大さじ2。だし汁の量で加減してください。めんつゆ使うと甘めの仕上がりになる。

・ごま油(ないならサラダ油でも可)……大さじ2

・豆腐……半丁


作り方

1.古くなったキムチ(と、細かく切った鶏皮)は鍋にいれごま油で炒める。これで嫌な酸味が飛びます。

2.鶏スープ、または自分でつくっただし汁を1にそそぐ。じゅわわわー。

3.味噌(または醤油かめんつゆ)で味付けする。味見しながら自分の好みを探ってみるべし。

4.豆腐を大きめに切って入れる。

5.しばらく煮込んで完成。お好みでキャベツやもやし、白菜なんかのほかの残り野菜を入れてももちろんよい。


「もずくと豆腐の酢の物」

・もずく……1パック(パックでもともと酢で合えてあるものならそのまま。もずく単体で味付けがないものなら、すし酢かかんたん酢、または三杯酢(※)を適量足すこと)

・豆腐……半丁

・(※)三杯酢……酢・醤油・砂糖を3:1:1の割合でよく混ぜる。

作りやすいのは酢、大さじ3と醤油、砂糖を各大さじ1かな。


作り方

1.豆腐は細かい賽の目に切る。

2.パックのもずくと(味付けがないもずくならお酢を加えて)合えるだけ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る