日常に映り込み、忍び寄る怪奇

 普通の人々の生活に、落とし穴のように出現してはまた消える、ささやかだったり思いのほか深刻だったりするような『不思議なものたち』。それらを自然に、ごく当たり前のようなトーンで語っているので、より身に迫ったものとして感じられます。また一話一話が読みやすく、基本的にはどの話も独立した連作短編でもあるので、気軽にさくさくと楽しく読み進められます。
 過剰でも大げさでもない、ごろりと横たわるような怪しい話。良質な恐怖です。