第30話 代表候補生
「はっ?元U15のスタメンだと?嘘をつくな!」
「たまたま勝てただけで偉そうにすんな!」
「じゃあこの写真を見れば俺らがU15のメンバーだとわかるよな?」
玲音がスマホをいじって何をしてるのかと思えば俺とのユニフォーム姿での2ショット写真を探していたみたいだ。ナンパ野郎達に見せた写真はピースをした4番と7番を着た俺達の写真だ。
「な、マジかよ」
「とんでもない奴らに喧嘩を売ってたのかよ…」
「「すみませんでしたぁぁぁぁ。さようならぁぁぁぁぁぁ」」
「おいっ!逃げるな!お前らは賭けに負けたんだから罰を受けろよ」
「へへっ、知ったことじゃねぇよ」
「逃げるが勝ちだ!」
「この野郎!オラァァァ!」
「うぐっ!」「うえっ!」
俺は勝負に使っていたボールを逃げる二人に向かって思いっきり投げてぶつけ足止めをする。
「観念しろ!」
あいつらが逃げたと同時に走り始めた玲音が追いつき、追い詰める。
「「クソッ」」
「お前らは負けたんだ。こちらの要求通り、二人にこの場で土下座と、その後にバリカンで1mmの坊主にするのと学校に報告をさせてもらうぞ。まず、花蓮さん達に謝れ!」
「チッ」
「クソッ」
「「すみませんでした〜」」
「適当に謝りやがって…」
「お望み通り謝ってやったんだしいいだろ!」
「そうだそうだ!」
「……じゃあ次にお前らの学校はどこだ?」
「言う訳ねぇだろ!」
「………茜、分かるか?」
「この二人って多分、近所にある○○中学校の人達だと思う」
「「なっ!?」」
「そうか。ありがとな茜」
プルプルプルプルプルプル
『もしもし』
『もしもし、○○中学校でしょうか?』
『はいそうですがどうしたのでしょうか?』
『今、そちらの学校の男子バスケ部の市選抜だと名乗る二人組に人の連れをナンパされ、注意したら舌打ちしながら謝ってきたんですけどどのような教育をしてるんですか?』
『た、大変申し訳ございません。こちらも顧問の先生に報告をし、そのお二人にしっかりと注意しますので…』
『今後はこのようなことがないようにしてください』
『本当に大変申し訳ございませんでした』
「学校にまで連絡とかひでぇぞ!」
「何してくれてんだよ!」
「お前らの態度が悪いからだろ!最後に、1mmの坊主にしてやる。ちょうど近所の人がバリカンを貸してくれたからありがたく使わせてもらおう」
「「嫌だぁぁぁぁぁ」」
ウィーーーン
「「グスッ、も、もう許してください」」
「これに懲りたらもうするなよ?」
「「本当にすみませんでした」」
後日、彼らは顧問にものすごく怒られた挙句、市選抜から外されたらしい。どうやらいろいろとやらかしまくってて我慢の限界がとうとう来たらしい。なんか可哀想に思えてきた。
「いや〜、相変わらず幸也のパスはナイスだったな。しかもシュートとドリブルも相変わらず上手い!」
「ハハッ、ありがとう玲音。でもまだ感覚が完全には戻ってないんだ。だからまだまだ頑張んなきゃ」
「幸也君お疲れ様!すごくカッコよかったよ!」
「にぃにのプレーが久しぶりに見れた〜。しかも、玲音君とのコンビをもう一度この目に焼き付けることができて感動だよ〜」
「ありがとう二人とも」
「茜ちゃん、これからだって見れるさ!そろそろ俺は行こうと思ってるからじゃあな」
「本当にありがとう玲音」
「もちろんだ。またすぐに会おうな!」
「おう。でもそんな機会あるのか?」
「それはお楽しみだ」
「でね、こんなことが今日あったんだよお母さん!」
「何?茜をナンパだと!?今度見つけたら父さんがとっちめてやる!」
「あらあらそうだったのね。そうだ、玲音君の名前を聞いて思い出したのだけれどお昼に学校から幸也に電話が来たわよ〜」
「えっ?」
「なんか明日の正午過ぎに職員室に来て欲しいらしいわ」
「なんの用事かな?」
「今日のことがバレたんじゃないかな幸也君?」
「それはないと信じたい」
「分からないわ〜。だから残念だけど幸也は明日には帰っちゃうわね」
「え〜!もう少しにぃにと花蓮ちゃんと一緒にいたいよ!」
「仕方ないわよ茜。学校からの呼び出しなんだもの」
「ちぇ〜」
「それじゃあ父さん、母さん、茜、また来るよ」
「短い時間でしたがお世話になりました!」
「またいつでも来なさい。その代わり連絡を入れるんだぞ。花蓮さんも是非また来てくれるかな?茜とも仲良くなれたそうだしな」
「二人とも、帰り道は気を付けてね〜」
「にぃに、花蓮ちゃん、また来てね!私も今度はそっちに行きたい!」
「ふぅ、やっと家に着いたな」
「そうだねっ!改めて言うけれど私を連れて行ってくれてありがとう!すごく楽しかったよ!」
「そりゃあよかったよ。っと、そろそろ学校に行かなきゃ」
「そうだったね。じゃあ私は幸也君が帰ってきたら軽く食べられるようなお昼ご飯とお礼に夜ご飯を豪華に作りたいから買い物に行ってくるね!」
「わざわざごめんな。大変だったら俺の昼飯は作らなくてもいいから」
「そんなことないから大丈夫だよ。あっ!そろそろ行かないとまずいんじゃない?」
「ほんとだ。じゃあ行ってきます!」
「ふぅなんとか間に合いそうだ。確か職員室だっけな」
「おーい幸也ー」
「ん?あっ!徹じゃん。どうしたんだ?」
「ハァハァ、久しぶりだな幸也、と言っても先週のプール以来だけどな。そんなことより幸也はどうして学校にいるんだ?」
「昨日、学校から電話で呼び出しをされたんだ。なんか、職員室に来いってさ」
「幸也もなのか。実は俺の方も昨日電話きて呼び出されたんだ」
「なんなんだろうな?」
「それな〜」
「おっ、キタキタ。こっちだよ!米谷君、渡辺君!」
「あっ、相田先生。夏休みなのにどうして俺達を呼んだんですか?」
「それなんだけど校長先生からお話があるよ!」
「君達が米谷君と渡辺君だね?」
「「「あっ!校長先生」」」
「校長先生、なんで俺と幸也は呼ばれたんですか?」
「その事なんだけどね、よく聞いてくれ」
「「はい?」」
「米谷幸也君、渡辺徹君。二人は昨日、U16の練習会に呼ばれた!来週から一週間の練習会を代々木体育館で行うらしい。そこでメンバーを決めるとのことだ。日本代表候補の二人よ、頑張ってきてくれ」
「「なっ!?」」
玲音はこのことを知っていたから『またすぐに会おうな!』なんて言ったのか。言ってくれればよかったのに。でも俺はまだ力不足だ!なのになんで呼ばれたんだ。
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