第26話 帰省

「花蓮さん、そろそろ行こっか」

「うん!戸締り確認してくるね」


今日は花蓮さんを連れて実家に帰省する日だ。向こうに4日間ぐらい滞在予定でもあるから戸締りはしっかりとしないといけない。これは花蓮さんが『私がやるよ!』って言ってくれたから安心できる。それよりも……


「幸也君!」

「うわっっと。か、花蓮さん脅かさないでよ」

「何回も呼んだよ?どうしたの?」

「な、なんでもないよ。じゃあ行くか!」


ーなんでもなくねぇ。ただ実家に帰るだけなのに地元と考えると……しかも、付き合ってもいない異性を実家に連れていくとなると何故か婚約報告しに行く気分で緊張がやべぇー


「幸也君の実家ってここからどのくらい時間がかかるの?」

「うーん、ここからだと乗り換えも考えて1時間半ぐらいで地元に着くと思うよ」


「………さっきの考え事ってやっぱりトラウマのアレかな?」


「うん、まぁそれもあるかな。やっぱりチームメイトと会うとなんか気まずい感じになりそうだし思い出しそうで怖いんだ」

「私がいるから大丈夫!安心してね!」

「ありがとう」










《まもなく〜△△駅、△△駅。降りる際は足元にご注意してください》


「着いた〜!ここが幸也君の地元なんだね!」

「そうだよ。ここからは徒歩で10分ぐらいのところに俺の家があるからゆっくり歩いていこっか」

「うん!」




「なんか緊張してきちゃったな、てへへっ」

「俺なんて朝から緊張してたよ」

「私大丈夫かな?」

「俺の親は俺から見ても優しいから花蓮さんなら絶対に平気だよ!っと、着いたよ花蓮さん。ここが俺の実家だ」

「ここが幸也君のお家かぁ〜。すごい緊張する」

「ガチガチに見えるけどチャイム鳴らすね」



ピンポーン


「はーい、あっ、おかえり幸也。そしていらっしゃい花蓮ちゃん!」

「ただいま母さん」

「お邪魔します」

「お父さんと茜はリビングにいるから花蓮ちゃんを案内してあげてね幸也」

「わかったよ」



「お〜おかえり幸也、帰ってくるのは今日だったか。そして花蓮ちゃんいらっしゃい」

「にぃにが美少女を連れて帰ってきたぁ!?」


「お、お邪魔してます」

「ただいま父さん、相変わらず予定を確認しないんだな。そして茜、花蓮さんは確かに美少女だが、彼女じゃないんだからそんな言い方するな。母さんに頼まれたんだよ」

「そうよ〜。幸也の栄養管理をしてくれているのだもの。親としてはお礼を言いたいじゃない」

「母さんも来たことだし簡単に自己紹介でもさせてもらってもいいかな?」

「は、はい!」


「ではまず私から、幸也の父である米谷 真也よねたに しんやだ。幸也がいつもお世話になってます。この家を我が家のようにくつろいで行ってくれ。俺のことはお義父さんでも、真也でもどちらでもいいからな!」


「次は私ですね!幸也の母である米谷 結衣よねたに ゆいよ。幸也の栄養管理をしてくれてありがとう!この子はすぐにめんどくさがってしまう子だから親として助かるわ!お父さんが言った通り、くつろいでいってね!私のことはお義母さんと呼んでくれたら嬉しいな!」


「私は|米谷 茜よねたに あかねだよ!中学3年生です!にぃにのバスケを見てからバスケを見ることが好きなのでバスケ部のマネージャーしてるよ!よろしく!」


「橋本 花蓮です。今日はお招きいただきありがとうございます。私の方こそ幸也君に助けてもらってばかりですので少しでも幸也君の力になろうと思っています。4日間ですがよろしくお願いします」


「それじゃあ、自己紹介も終わったことだしみんなでお昼にしましょう。幸也が女の子を連れて帰ってくるって聞いたからお母さん張り切って作っちゃったわ」



お昼に出てきたものはすごく豪華だ。お稲荷さんに揚げたての唐揚げ、エビフライ、野菜炒めに、サラダと美味しそうな料理がたくさん作られていた。


ー久しぶりに食べる母親の料理はすごく美味しい。でもなんだろう。なんか物足りないような…ー


「幸也は正直物足りないと思ったでしょ。やっぱり今はもう花蓮ちゃんの料理の方がいいんじゃないかしら」

「にぃにしっかりと花蓮ちゃんに胃袋掴まれちゃってるね!」

「う、うるさい。でも花蓮さんの料理はすごくおいしい」

「ちょっ、幸也君!いきなり褒めないでよ!照れちゃうよ〜」

「あらあらお熱いわね」


「なぁ幸也。お前はもうほんとにバスケはしないのか?」


ドキン


ーまさかこんなに早く聞かれるとは思わなかったなー


俺はもう一度考えてしまう。家族にはすごく迷惑をかけてしまった。茜には当時、辞めないでと泣かれたりもしてしまった。それなのにワガママなことをもう一度行ってもいいのだろうか。


「幸也君、きっと大丈夫だよ!」

「ありがとう、花蓮さん」



「父さん、母さん、茜。実は俺が進学した高校に県総体で優勝した中学校のキャプテンもいたんだ。そいつとは今は親友としてよく一緒にいるんだ。そいつからは最初辞めるのはもったいないと言われた。でもその後に少しトラブルがあってそいつ、徹って言うんだけど徹とタッグを組んで2vs2をやることになったんだ。ここからが重要なんだけどボールを持った時に頭の中に中学の最後の試合を思い出して頭が痛くなったりしちゃったんだ。でもそれ以上に徹と一緒にバスケをしたいとも思った。でも、トラウマってなかなか治らないもんだね。またバスケをしたいと思っていたら花蓮さんが克服を手伝ってくれるって言ってくれて今はまた自由にプレーができるように特訓しているんだ。帰ってきたのは顔を見せにきたと言う理由もあるけど俺としてはケジメをつけに来たんだ。だから、一度バスケから逃げ出した俺だけどもう一度バスケをさせてください!そして応援してください!」

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こんにちは、春幸夜空です!

今回からは帰省編に入りました。最初からこんなに長くなってしまい後々が短くなってしまわないか心配ですw


面白かったり、早く続きを読みたいと思ってくださったら作品のフォロー、☆やコメント、レビューをしてくださると嬉しいです!

誤字訂正等もありましたら教えてくださるとありがたいです。


※一話ごとに題名を入れてみました!今後は題名も入れて更新していこうと思います。

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