第2話

一階を物色していた空き巣二人組が二階に上がってくる足音が聞こえた。俺は、通報していた電話を切り、部屋に空き巣が入って来た時に、抵抗できるように迎撃体制を取った。


俺の部屋の前で足音が止まると勢いよく部屋のドアが開けられた。その瞬間、俺は空き巣を挟むように勢いよくドアを蹴飛ばした。すると、空き巣の手からナイフが落ちるのを見えた。俺はナイフを拾われることを防ぐために、もう一度ドアを蹴飛ばした。


「痛ってー。」

空き巣の一人が大声を出しながら、落としたナイフを拾おうとする手が見えた。俺は、ナイフを拾われたら終わりだと思い、ナイフを蹴飛ばし、その反動を利用して、男の手を踏みつけた。


「痛ってー。」

再び、大声を出した男に対して空き巣の相方が隣の部屋から、

「うるせーぞ。」

と大声で叱りつけた。

「おい、気をつけろ。この家、誰かいるぞ。」

俺に手を踏みつけられた空き巣が相方に情報を伝えてしまった。


焦った俺は、ドアを勢いよく開けて空き巣の一人を部屋の中に引きずり込もうとした。案の定、空き巣の一人はバランスを崩して倒れ込んで来たので、そのタイミングで空き巣の顔を思い切り蹴り上げた。ただ、人の顔を蹴り慣れていない俺は、どうやら無意識のうちに蹴り上げる力を緩めてしまっていたのか、もしくはその空き巣が強かったのか分からないが、空き巣はすぐに立ち上がると落ちていたナイフを拾い上げた。


「お前、覚悟しろよ。」

空き巣がナイフを振り上げ、俺を切りつけてきた。一撃目をかろうじてかわした俺は二撃目が来る前に反撃しようと攻撃体制に入ろうとしたが、想定以上に早い二撃目が俺の腕を掠め、三撃目で腹部辺りを思い切り刺された。


その攻防をしている間に、他の部屋を探っていたもう一人の空き巣も部屋に入って来て、二対一になってしまった。俺は腹部の傷口を片手で押さえながら、武器になりそうな置物を手に取り二人を相手に睨み合った。


すると、遠くの方からパトカーのサイレンの音が聞こえて来た。


「てめえ、通報しやがったな。おい、急いで逃げるぞ。」

空き巣二人は、俺の部屋を飛び出すと急いで階段に向かって走り出した。その姿を見た俺は、一階にいる母親が傷つけられる可能性を感じ、階段を駆け下りていく空き巣の一人を後ろから思い切り蹴飛ばした。


すると、空き巣たちは揉みあいながら転がり落ちていった。その際、お互いがナイフを片手に逃げようとしていたこともあり、階段を落ちていく中でお互いのナイフで刺しあう形となってしまい、階段下では二人が血だらけで倒れていた。

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