第9話 桜色に染まる夜

手探りでさぐった宵闇に


指先濡らした

桜色の滴



近づけるほど

強くはなくて、


でも、

零れるのは寂しいの



ほんとに不思議ね



あんなにも

離れる予感を重ねたのに



想うほど咲き乱れ、



春の嵐吹き荒れて


夜の果てまで染めてゆく



この深い深い

桜の闇には



もう

貴方しかいなかった





 




 

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