『天才魔法使いだけど、身分のせいで魔法が活かせなくてつらい』壁さん

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尾崎ゆうじフル読み書評 評価シート


【注】 こちらは、現在尾崎ゆうじのnoteで限定で受け付けているフル読み書評ノーマルの『評価シートおよび感想動画』の内容になります。


 本来は非公開ですが、作者さんの許可をいただいて公開するに至りました。壁さん、ありがとうございます!


 皆様の参考になれば幸いです。


 最近、基本非公開のフル読み書評についても、公開許可をいただく場合が多く、ありがたいです。気になるどーもそうですが、それだけですごいなと思います。たとえば私の場合であれば、ネガティブな指摘のある評価などはあまり表に出したいと思わないので、素直にリスペクトです。


↓作品のリンクはこちら。

(作者さんの作業タイミングによっては非公開になる場合もございます。ご了承ください)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922550011

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☆このたびはフル読み書評をご依頼くださり、誠にありがとうございました!

 誠心誠意評価をさせていただきました。


1 作品タイトル『天才魔法使いだけど、身分のせいで魔法が活かせなくてつらい』

作者名:壁さん


2 受注日:

 

 2020年 10月 31日


3 尾崎が作品を最初に読んだ日: 


 2020年 11月 2日 



4 各項目の評価・採点(各最高15ポイント(⑦のみ10ポイント)):


・ご依頼ありがとうございます。今回は2章までの段階でのご依頼ということで、現時点での方向性だとか、そういう内容について気になっているのかなと推察します。あとは『男性が悪者になる』という点ですが、そちらについても後述したいと思います。


 とにかくまずは、「全体的に良かったです!」とお伝えしておきます。3章以降がどうなって、何章まで続けようとしているのか、どうまとめていくのか、気になるところですが、魅力たっぷりでした。



①[タイトルやあらすじなど……11pt/15pt]


 タイトル、おおむね良いと思います。わかりやすいですね。割り切った感じがして良いです。


 キャッチは逆に少し物足りないというか、もったいない感じでした。主人公の境遇だとか、特徴だとか、どうして苦しんでいるのだとか、端的に語れるのならその方がいいかなと思います。タイトルがキャッチコピーでもいいくらいな感じですね。一考の余地あり。


 あらすじ、2章までを読んだうえで言うと、もう少しシュッとまとめてもいい気がします。よくよく読むと、『小さくてかわいい女の子』が物語上でメイに絡むことがないように見えるので、あらすじでそんなに強調しなくてもいいかもしれません。


 動画の内容を参考にしつつ、もっと書き進んだ後でもよいので、冷静な視点で見直してみると、どんなあらすじになるのが最適か気づきがあると思います。


 なお、第1章の村の尺が長めなので、あらすじの登場人物の欄が王城寄りになっていると気になりますね。王城に行ってからがメインの物語のように感じますが、現実には村が最初の段階では中心の舞台ですので、村要素はすこし多めにあらすじに入れた方が、読者に「いつ王城行くの? いつ王子出るの?」というフラストレーションを与えずに済むかも。



②[掴み……14pt/15pt]


 すごく良いです。白雪姫のくだり、独自見解というか、キャラクターらしさが出る描写で「よく考えたなー」という感じでした。


 その後も彼女の境遇がよく伝わってくるシーンで、それに対する本人の気持ちや意向、そして魔法の素敵な描写が相まって、掴みはかなり良いとおもいました。



③[文章……13pt/15pt]


 動画でちまちまと指摘を入れていますが、良い部分というか、加点対象の方が優勢だと思いました。何より魔法の描写だとか、キャラクター表現などがとても自然で、美しいです。スムーズに情報が入ってくる感じで、しっかり余計な角が取れているように思えます。すでに文章の初心者レベルはクリアしていると感じます。


 あとは設定説明について少し足りない部分があるので、そこは押さえておいたほうが、より高いレベルに到達できると思います。


 トータルで見ると、とても上手です。押す部分と引く部分がしっかりしています。


 あとは動画参照で。



④[ストーリー……10pt/15pt]


 うーん、ちょっと章のスタートがどうしても緩めになる傾向がありますね。2章の0話は問題ないですが、1話目から緩い。魔法やキャラクター描写で何とかつなげている感じで、いつ読者が退屈して離れるか、ひやひやしそうです。


 そういう日常寄りの物語であれば、それもアリなのかなと思いますが、壁さんがどういう展開にしていこうとしているのかを推察する限りでは、もう少し前半でジャブを打ち込んでいく方が良いと思いました。全体的に魅力はあるので、その前に読者が離れちゃうともったいない。なるべくリスクヘッジしておきたいところ(それで必ず繋げるとは言えませんが……効果はあるはず)。 


⑤[キャラクター……12pt/15pt]


 けっこう造形がしっかりしていて自然です。やはり主人公像が良いですね。可哀そうだけど可哀そうすぎないというか、明るい性格が〇。あとは、コウもいい。この物語の重要人物になるであろう予感がしますが、それに合う程度に、きちんと背景が見えてきます。


 王子のモノローグも良いですね。共感できました。


 全体的に台詞に頼りがちではあります。おかげでせっかくのキャラ造形に妙な説明口調がついたりして、微妙だったりします。


 あとは感想動画を参照してほしいです。



⑥[期待度・引き付け……12pt/15pt]


1章、2章ともに、5話、6話あたりから期待度が良い感じに高まります。貴族の話題展開、王子展開が始まってからですね。問題はそこまでの引っ張り、引き付けですね。あとは、描写の力も相まって、引き付けられます。



⑦[オリジナリティ、本作特有の魅力など……8pt/10pt]


 魔法に対する考え方と、その表現の美しさが高評価です。すごく魅力的に描かれていて、一緒に魔法を味わいたい気持ちにさせられるのが不思議。魔法の書物についても、カイトの文章が良い感じ。


 あとはテーマがしっかりと決まっているのも素晴らしいですね。それをきちんと主人公が体現しているという基本もちゃんと押さえてて、共感できる内容になっています。超優秀。


 壁さんが気にしている『男性悪者』については、テーマから逆算すると必然的にそうなってしかるべきだと思います。のちのち、メイに相反する価値観を持つ女性が現れて衝突することがあってもいいかもしれませんが、とりあえずは男尊女卑の世界であり、かつ「女性だから、男性だから、貴族だから、平民だから、何だってのよ」という不平不満はあっても、差別が歴然と存在する状況というのが、きちんと私の心をもやもやさせていたので、狙いというか、伝えたいことを表現できていると思います。


 嫌な気持ちになる男性がいるとしたら、その人もまた、嫌な男性要素を持っているだろうなと思います。気にしなくてよいです。がんがん嫌な奴を登場させてください。


 あとは、世界観でちょっとよくわからない描写や設定があるので、それに対する対応はした方が良いと思いました。



[おさらい]

・タイトルやあらすじなど……11pt

・掴み……14pt

・文章……13pt

・ストーリー……10pt

・キャラクター……12pt

・期待度・引き付け……12pt

・加点、本作特有の魅力など……8pt


●総合得点は──


(80)pt!


(総評)


 とても良い印象で、高得点の部類に入ると思います。あくまで現時点での感想で、ちょっと手を加えるだけでも大きく変わるような箇所があるので、リライト後も期待できそうな作品だと感じました。


 動画の最後でまとめていますが、本当にそれくらいしか大まかな課題は無いですね。実際の改稿、再構築していく作業は大変だとおもいますが、それでも比較的問題点が少なくて、大変じゃない方というか、早めにクリアできそうなだと感じています。


 ただし、壁さんの気持ちというか、愛着が強くなっていると、加筆修正はけっこう骨が折れるし痛い作業だったりします。無理せずに、ゆっくり、「今ならできそうかなー」というタイミングでリライトしていくと良いでしょう。怖がらず、ばりばり試行錯誤してほしいと思います。


   

☆文章添削も含め上記の内容を詳しく解説した動画は、以下のリンクから閲覧できます。

 (非公開動画です。このリンクを知っている者のみ閲覧できます)


 ↓動画のリンク(約2時間20分)。  

https://youtu.be/t2EuIYPGXvM

 

 長時間の動画になります。要点は上記、あるいは動画の画面上にまとめています。

 要所要所でスクリーンショットなど撮影することをおすすめします。


(以上、本文)


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 読者の皆様、いかがでしたでしょうか。


 作品自体がまだ途中ではありますし、まだまだ表現的に冗長になったりする場面もあるのですが、しっかりテーマが全体に通っていて、なんだか無視できない作品になっています。静かに進行しますが、「これからどうなるのだろう?」という妙な魅力を持った作品なので、よければ見守ってあげてほしいです。多少、世界観が謎だったりしますが、いずれ説明があるとおもいます。


 それと、相当繰り返しリライト作業などしたらしく、その甲斐あって今のクオリティになっているようです。ゼロから講座を参考にしてくれているそうなのですが、それだけでこんなに磨かれるものなのか? と驚きです。特に魔法の描写が素晴らしい。


↓というわけで、作品リンクはこちらからです。(作者さんの作業タイミングによっては非公開になる場合もございます。ご了承ください)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922550011


 以上で今回のフル読みは終了です。


 皆さんのお役に立てたら幸いです。


 これからも創作楽しんでいきましょう!

 


創作コーチ

尾崎ゆうじ

(note) https://note.com/ozaki_yuji

(youtube) https://www.youtube.com/channel/UCu54sC6pviWQUC1eA6dqDKg/featured?view_as=subscriber 

 

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