内側の物語

 序盤からこれが何をモチーフに物語ろうとしているかには察しがつく。ただそれを修飾するイメージが「戦い」となっていて戦士達と彼らが苦難の先に目指す聖域として立ち現れる。言葉のもじりが絶妙ゆえかそれをそれとしてどこかで認識しながら読み進めることになるが、その中で戦士同士の会話であったり蘭の君による内省が響き渡り物語自体に深みを持たせている。
 短編という制約の中でストーリー性を重視しながら世界観や個々の役割を説明までこなすやり方として既存のイメージをスライドさせるのは上手いし、それが押しつけたようないやらしさもなく見事だと感じました。老戦士の無骨さが良かった。モチーフ的に過去が気になるところ。見てみたい。

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