第27話 勇者タツヒコの冒険 ➓ 大怪獣決戦の裏側で〜5

「な…なんなのよ…アレ?

あ…あんな恐ろしいドラゴン見た事ないわ!」


「何ってキ◯グギドラだろ?

色はだいぶ可笑しいけどww」



と説明してやったがリリーは何故か、キ◯グギドラを見て異常に怯えている。

アレ?リリーって転生者じゃなかったっけ?



転生者や稀人ならアレを見て、気づかない訳がないんだけど……



以前知り合った小柄な方の稀人の特撮オタクの男の話じゃあっちの世界にも、オレ達が知ってるのと『同じ作品がかなりある。』と言っていた。



籐映や籐宝なども漢字違いだが、存在しているそうだ。

もちろんちゃんと◯ジラやキ◯グギドラの出てくる作品もあると言っていた。



それを知らないって事はつまり……



「「「リリーって本当は【偽転生者】だったんだな!」」」


「そ…そんな訳ないでしょ!私は転生者よ!!」



凄く慌て否定する姿を見て、更に確信した。

やはりリリーは偽転生者だ。

きっとまだ転生者かどうかの判断が甘い時期に、認定させたんだろう。



たぶん身近に稀人か本物の転生者でも居たんだな。

アレ?という事はリリーって……



「身分詐称、冒険者ギルドの規約違反、それに伴う国家に対して長年における多額の報酬詐欺か……

大罪だなぁ~♪」



とオレが言うと、マサユキとヨウジも



「捕まえて騎士団に突き出したら、俺達の罪軽くなるんじゃねww」


「おぉーー!ナイスアイデアww

撮影し終わったら直ぐ行こう♪」



二人共オレに同意してくれた。



「あ…あんた達…今まで匿ってあげた恩を仇で返すつもり!?」



とリリーは怒っているがという事はやっぱり……



「あ~自分が【偽転生者】だって認めたな!」


「それはそれ…これはこれと言う事で。」


「ここでお前を庇ったら、国外追放どころの処分じゃ済まないし。

オレ達はお前を突き出して、罪一等を減じてもらう事にする。

悪く思うなよww」



因みに上からマサユキ、ヨウジ、オレのセリフな。



「だ…だったら、あんた達を消せばこの事を知ってる者は居なくなるわよね!?」



顔を真っ赤にして怒るリリー。

は?何言ってんだコイツ?

オレ達を消す?



「リリー…お前実は馬鹿だろ?

これ生配信でずっと流されてるから、もうかなりの人が見てるぞ。」



(実際には放映をストップされているので、現在見ているのは第四騎士団の一部の人間だけだが。)



「それに俺達、チートあるからリリーより強いし♪」



ヨウジが余裕の発言。



「俺の防御結界無しで、あのキ#◯__ピー__#グギドラの攻撃が躱せるとでも?」



とマサユキが言うとここに来て、ようやくリリーは自分の立場の弱さ気づき、顔を真っ青にさせた。



今、マサユキの結界の外に出されたら、アウトだ。



「あ!ヤバイぜ皆んな、ドローンモドキの反射板が全部壊れた!」



と、突然カメラをまわしていたヨウジのセリフにオレ達は戦慄した!!

エーーーーー!

それかなりヤバイじゃないか、今まではあっちが目立ってたから、こっちは無視されてたけど、次はこっちを狙って来るのは確実だ!



「どうする?」


「どうするって、見つからないうちに逃げるしかないだろ!!」



あ!こっち見た……



… 。


… 。


… 。


… 。



「「「逃げろーーーー!!」」」


「もうイヤーーーー!!」



オレ達は走った!

王都方面に逃げるのは下策だ。

キ◯グギドラに追われているオレ達の為に防御結界に穴を開けてくれる訳がないから、追い詰められてしまう!



だからオレ達が逃げるとしたら、人の居ない方向だ!

王都の奴らの対策がまさかアレだけじゃないだろう。



(実はアレだけだった。)



ならば次の一手の準備が整うまで、オレ達で時間稼ぎをするしかない!!

上手くいけばこの騒ぎが治った後、オレ達は王都を護った英雄だ!



(リリーを除く。)



それから30分ぐらい、オレ達はキ#◯__ピー__#グギドラが王都方面や人のいる方向に行かない様に、囮りとして頑張った!



その甲斐あって、ようやく真打ち?登場。



「「「「イケーーーー!巨大勇者シルバー!!」」」」



と応援しつつも撮影は続ける。



巨大勇者シルバーvsキ◯グギドラの戦いは凄まじい……

普通ならこんな間近で見る事は出来ない。



こういう時の為に、態々ポーラルタオにまで行ってナカジマにtune-upしてもらった撮影機材とオレ達のチート能力がなければ、この迫力映像は撮れないだろう。



そして数分後…巨大勇者シルバーvsキ◯グギドラの戦いは、意外な方法で決着がついた……



「えーーーーー。まさかの猫ゲロかよ?」



残念そうだなヨウジ。



「貰いゲロで弱体化か…意外なオチだったな。」



そうだなマサユキ、オレも勇者シルバーが巨大化した時、ちょっと期待しちまったよ。



「せっかく途中まで大スペクタルだったのになぁ~。」



勇者シルバー…光線くらい吐くかと思ったのに、決め手が猫ゲロかぁ~。

巨大化しても元が猫だから仕方ないよなぁ……



「や…やっと終わった…… 。」



リリーはこういうのに慣れてないから、ヘロヘロだ。

それにしても、キ◯グギドラのゲロが臭そうだな。

有毒性とか大丈夫か?



「有毒性とかは大丈夫じゃないかな。

勇者シルバーは平気そうだから。」



とマサユキが説明してくれた。



「だが、凄くイヤそうに砂かけ行動してるから、臭いんだな。」



テレビや映画だと、怪獣を倒して終わりだけど、実際のところ後片付の方が大変そうだな。



今回は郊外だったから、まだ瓦礫の処理が無くて良かったかもしれん。

『おい!ウ◯トラマン、ついでに片付けるの手伝ってから帰れ!』



と思ったのはオレだけでは無いはずだ!!



そう考えると昔、友人にDVDを借りて見た某エル◯ランシリーズの二番目の作品が一番被害額が少ないというのは納得出来る。



何しろアレは戦闘後、全ては魔法で元通りだったからな。



「ところでさぁ~キ◯グギドラ誰が片付けるんだ?

勇者シルバー絶対に片付けないよな?」



するとマサユキとヨウジが相槌を打ってくれた。



「「確かにwww!」」



「片付けるのは我々、ユイナーダ王国第三騎士団だ!」



アレ?いつの間に?

オレ達は王国の騎士団に囲まれていた。



ヨウジ……見張りはどうしたんだよ?

とそっちを見れば……



「すまん…敵意が無かったからつい…… 」



ついじゃないだろ!



「君達のおかげで、こちらの準備が整うまで、時間稼ぎが出来た。

礼を言わせてくれ!」



と第三騎士団の代表者(たぶん副団長あたりかな?)がお礼を言ってくれた。



「「「いやぁぁ~照れるぜ!」」」


「と…それはそれとして、君達にはこの後いろいろと聞きたい事があるので、ご同行願おうか!元A級冒険者のタツヒコ、マサユキ、ヨウジ!」



しまった!オレ達国外追放されてたんだっけ。

まぁでも王都防衛に力を貸したんだから、大丈夫かな?



オレ達よりリリーの方がヤバそうだし。

そう思って彼女の方を見てみると、向こうは向こうで某ぼっち飯に出て来そうな強面のおっさんに、手錠を掛けられて連行されて行った。



「ちょっとあんた達!少しは助けようとかしなさいよ!!」


「「「イヤ、無理っす!しっかり今までの罪を償ってくれ!!」」」


「薄情者ーーーー!今度会ったらただじゃおかないんだからぁーーーー!!」



たぶんもうリリーに会う事は無いだろう……



「「「達者でなーーーー!」」」



オレ達はその後、いろいろと事情聴取され、今回の件がかなり危険な行為であるとかなり絞られ、第三騎士団から解放されたのは三日後だった……



「あぁ~くたびれた。やっと終わったぜ!」


「我々第三騎士団の事情聴取はな。

この後第二騎士団と第四騎士団の事情聴取があるから、覚悟しておくように!」



「「「えーーーーーマジっすか?」」」



その後、オレ達が全ての騎士団から解放されたのは更に一週間後だった……



結局、罰としてしばらく強制的に働かなけばいけなくなった。

衣食住の保証はしてくれるが無報酬……



ただ悪い事ばかりでは無い。

なんと【聖女様の護衛】も兼ねているのだそうだ!!



しかも三人も♪♪



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


オレ達を王都の神殿で出迎えてくれたのは、あの聖人王子様だったんだが……



なんで髪がグレーで猫耳が生えてるんだ?

しかも目の下に隈が……

前会った時は金髪碧眼のいかにもな王子様だったはずだったのに?



(エータ様抜けて無いww)



「お久しぶりですね。

皆さんお元気そうで何よりです。」



アレ?これってあの時の王子様だよな?

とりあえず、前の事は謝っておこう……



「「「先日はたいへん申し訳ございませんでした!

セイマ殿下とは知らず、数々のご無礼を…… 」」」



すると王子様は王族スマイルで



「おかげで大好きな友人と旅が出来たので、気になさらないでください。

私も気にしていませんから。」



なんて心の広い王子様なんだ!

そして、彼がオレ達に紹介してくれた【聖女様】は、三人娘として、ユイナーダ王国で一番有名なんだそうだ。



そう言って王子様が呼んだ【聖女様】達は少し遠くに居るはずなのに、やけに大きく見えるんだが、気の所為か?



いや…気の所為じゃなかった!



三人の【聖女】はデカかった……

というかコイツらのどこが【聖女様】なんだよ!?

どう見ても男だろ!というかオネェだ!!



その姿はオレ達の世界に居た、有名な某女装家そっくりだった!



◯ツコ・デラ◯クスそっくりの聖女マリコ様。

ナ◯ャ・グラ◯ディーバそっくりの聖女ナディア様。

ミッ◯・マング◯ーブそっくりの聖女ミチア様。



「あら?皆んな可愛いわね♡」


「どの子にしようかしらぁ♡」


「アタシは逞しい方が好きよ♡」



はっきり言ってドン引きだ……



「あの…セイマ殿下?この方々のどこが【聖女】なんですか?」



おそるおそる王子様に尋ねると



「大丈夫!彼女達は立派な【聖女】ですから♪」



三人の【聖女様】達は開示されているステータスを見せてくれた。



職業欄のところを見ると……



よく見ると《職業 聖女》の《女》と書いてある所に薄く✖️印が付いていて、隣に《人》と書いてあり、[誤植です。

すみませんでした。]と凄く薄くて小さい字で書いてあった。



「「「ほら♪ちゃんと【聖女】って書いてあるでしょ♡」」」



なんだコレ?



もしかして、コレ本人達には見えてないのか?

誰の仕業か知らないが、本人達に見えてなきゃ意味ないだろ!!



オレ達が不安そうにしていると思ったのか、【聖女様】達は



「大丈夫よ~。アタシ達何時も三人一緒に行動してるから、パーティーがバラバラになる事は無いから安心してね♡」


「じゃあ、予定も詰まってるし行きましょうか♡」


「そうね♪皆さんをお待たせしてはいけませんから♡」



ガシッ!



そう言って、【聖女様】達はオレ達の腕を掴んで歩き始めた。



「良かったじゃないか、君達の望み通り『聖女と一緒に旅をする』事が出来るよ。」



そう言って王子様は腹黒そうに笑った……



えっ!?ちょっと王子様?

コレ、オレ達が思ってたのと全然違うんですけど!!



『気にしてない。』なんて大嘘じゃないかーーーー!!



(こうして自称勇者タツヒコ達は【聖女様】達と一緒に旅立って行った。)



 勇者タツヒコの冒険【完】  



皆んな!勇者タツヒコの冒険を応援してくれてありがとう!

また何処かでお会いしましょうww


勇者タツヒコの冒険へのおたより待ってます♪


※ 注 お話はまだしばらく続きます!           

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