第23話 勇者タツヒコの冒険 ❻ 大怪獣決戦の裏側〜①

その日、オレは朝からイヤな予感がした。



昼過ぎになってだんだん外が騒がしくなり、『外出禁止令が出た!』と通りで叫ぶ衛兵隊の声が、隠れ家のリリーの家まで聞こえて来た。



いったい何が起こっているんだ?

外に出る事が出来ない為、詳しい情報が入らないのがもどかしい……



皆んな気になったので、【隠密】スキルを持っているヨウジが、『外の様子を見て来る。』を偵察して来る事になった。



数分後に戻って来たヨウジは少し興奮気味だった。



「やべぇぜ!王都の外にデカい怪獣が居座ってる!

王都の周りは王国一の【聖人】が張った、防御結界で守られているけど、いつ迄保つか…… 。」


「デカい怪獣ってどのくらいだ?

この世界じゃ体長20mクラスの#古代竜__エンシェントドラゴン__#なら、いない事もないだろ?」



流石は我がパーティーの知恵袋、マサユキ!



「いやそれが…156mはある、見た目がアレにそっくりな奴でさぁ~。」



アレって何だよ?



「一応、カメラで撮影して来たけど。

もう何て言っていいか、テレビや映画で見るのと、実際に居るのを見るのじゃ大違いというか……

国防の危機なのは解っちゃいるんだがなぁ~。」



いったいソレに何が写っているんだ?



「コレを見る前にまずマサユキ、防音の魔法を張ってくれ!

でないとヤバい。

俺だってスキルで冷静を保ってないと、ヤバいんだ。」



ヨウジがスキルを使ってまで興奮が抑えきれず、さらに冷静を保たなければいけない映像って、いったい何だ?



「解った。防音魔法だな。」



マサユキが防音魔法をしっかりと張ってから、ようやくヨウジが見せてくれた写真…それは……



「「ギャハハハッ!!嘘だろ!?

マジ?」」


「ぷっ!俺ももうダメ!コレどう見てもアレだろ!?」


「「「キ◯グギドラww」」」


「ヒィー腹いて!こんなのが、現実に居るなんてあり得ねーー!」


「何なんだよ、この派手なカラーリング!?」



ヨウジの撮って来た写真に写っていたのは、キ◯グギドラにそっくりな形をした、パッションピンクにエメラルドグリーンの水玉模様のドラゴンだった!



「「「ウケる~ww」」」



ひとしきり笑った後、ヨウジがある提案をして来た。



「なぁコレさぁ~【HMT(本物の稀人通信)】に投稿しないか?」



【HMT】って俺達みたいな稀人の間で流行ってるアレか?

投稿記事が載るとけっこうお金になるって言う。



偽物が投稿しても本物とピントがズレてるから、アレすぐ解るんだよな。



「小遣い稼ぎには持って来いだと思う。

特に俺達チートがあるからさ、あのキ◯グギドラの攻撃にも絶対に耐えられる!」



確かにな!



「ヨシ!それじゃあリリーが帰って来たら、早速出発しようぜ!

防御結界なら任せろ!!

【聖人】と同じまではいかなくても、パーティーメンバーを守るくらいお安い御用だ♪」



期待してるぜ、マサユキ!!



☆こうして、リリーの居ない内に勝手にタツヒコ達に寄って、キ◯グギドラ撮影の計画が決められていった。



※【HMT】民間を装っているが、実は第四騎士団に入隊した稀人が発案した物。

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