第6話 サイド領にて ①

「で…どうして私のベットにセイマ様が転がっているんですか?

隣りにお部屋をご用意したはずですが?」



急遽行われたささやかな歓迎パーティー終了後…私は自分に用意された部屋ではなく、ハーシーのベットでゴロゴロしていた。



「え~だって~隣りの部屋じゃハーシーの匂いがしないんだよ。」



ベットの上でハーシーの枕を抱きしめながら可愛いく答えてみた。



「『え~だって~』じゃありません!

大の男がそんな事しても、まったく可愛いくありませんから!!」



この前、姉上に貸してもらった本に書いてあったのを、参考にしてみたのだけどダメらしい。



「チッ!」


「舌打ち!?セイマ様、ご身分と年齢をお考えください!」



ハーシーに怒られてしまった。

まぁ確かに、自分より10センチもデカい男に言われても可愛いくないよね。



「はぁ~、仕方ありません。大人しく部屋に戻りますよ。

じゃあ明日からの護衛、お願いしますね♪」



そう言って私はハーシーの部屋から出て行きました。

ハーシーの匂いのする枕を持って。



数分後……



「アアッ!私の枕がない!?アイツまた持って行ったな!」



セイマに枕を持って行かれて荒れるハーシー。


一方その頃、セイマの方は……



「あゝ♪ハーシーの匂いがする♡

癒される~♪♪」



ゴロゴロ♪スリスリ♡


《*注:コレは決してBLではなく、猫が気に入った物を収集しているのと同じ行動です。》



(翌日)



「オハヨウゴザイマス。セイマ様。」



ハーシーが不機嫌……

若干、目の下に隈があるから、昨日は良く眠れなかったみたいだ。



あっ!そういえば、ハーシーって枕が変わると寝れないのでしたね。



「あの…ハーシーごめんね。枕は返すから。機嫌を治してくれる?」



私は仕方なく、昨日の獲物の枕をハーシーに返した。

枕だけ…枕カバーは返さないからね。



「今度新しい枕カバーを進呈するから、許してニャン♪」



そう言いながら、可愛いく猫の手ポーズを決めてみる。



「…………………… 。」



アレ?違った???



「何処でそんな事覚えて来るんですか!?

まさか、他所でやってませんよね!?」


「や…やってないよ。」

(姉上の前で練習させられたけど。)



ちょっとだけ目を逸らせて答えると、ハーシーは顔を真っ赤にして、私にお説教をし始めました。



お説教を受ける時にするポーズ。

正座をする事、1時間……



そろそろこのポーズキツイんですけど~。



更に30分後……

やっと許してもらったけど…足が痺れて動けないです。



回復魔法で治そうとしたら、それだと罰にならないからダメだと言われました。



ハーシー酷いです。



10 分ほどして痺れも取れてきたので、サイド家の馬車で、最初の目的地に向かいました。



「まず、最初の村はリバーサイド村と言って、馬車で3時間の川沿いにある村です。

村の神殿で近隣の村人も集まっていますので、くれぐれも真面目に宜しくお願いしますよ。」


「はぁ~い。」



領都を抜けて暫くすると、景色は長閑な畑の風景が続く。

向かい側に座るハーシーは昨日の夜眠れなかったので、舟を漕いでいる。



2人きりなら、このまま抱きしめたいけど、サイド家で付けてくれたメイドと護衛騎士もいるから、無理ですよね。



仕方ありません…私も暫く瞑想をして神気を高めておきましょう。



3時間後……



「セイマ様、ハーシー様、もうすぐリバーサイド村に着きますのでご準備をお願いします。」








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